考え・想いなど

2011年04月11日

市民のネットワークが被災地を救う: 地震医療ネットワークと相馬市 〜寄稿していただきました〜

東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 特任教授の上先生から被災地支援について寄稿して頂きました。

医療現場という、極めて重要なセーフティネットを被災地において維持するために、人々のつながりがいかに重要な役割を担ったか。
「大震災が日本の医療の終焉の始まりとなるのか、再生の萌芽となるのか。それは、これからの我々の行動にかかっている」と書かれていますが、これは医療だけではなく、公的サービスを含む様々な分野に該当します。
その意味で大変貴重な報告だと思います。


ぜひご覧ください。


--------------------------


市民のネットワークが被災地を救う: 地震医療ネットワークと相馬市



3月11日、東日本大震災が発生し、各地で甚大な被害が生じた。特に悲惨だったのは、福島県の浜通地区だ。地震・津波に加え、原発事故、さらに風評被害が加わった。行政のサポートも不十分だった。相馬市の立谷秀清市長(医師)は「厚労省は、私たちを救うよりも、捨てることを考えているのであろうか。安定しない政府のために、市民はパニックに陥り、病院のスタッフも逃げ出してしまった。」と語る。この地域の経験を共有することは、災害を考える上で貴重だ。本稿では、この問題を考えたい。



被災地が混乱した最大の理由は、病院・市・県・国という平時の情報流通・物流ルートが破綻したことだ。
このため、被災地から情報が入らず、関係者は動けなかった。

多くの地域では、官を補完する民のネットワークが弱く、業界団体は「行政と協力して」を合い言葉に指示待ちを続けた。メディアも「政治は官僚を使え」と言い続けた。
こんな主張は何の役にも立たなかった。


状況を打開したのは市民のネットワークだ。
被災地の役に立ちたいと思う有志が、各地で連携した。さまざまなネットワークが自立・分散・協調しながら活動した。
この際、ツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアが大きな効力を発揮した。




筆者たちの経験をご紹介したい。筆者らは、3月15日に有志12名で「地震医療ネット」という団体を立ち上げた。
参加者には、東北地方にネットワークがある医師と、信頼できるメディア人を誘うようにお願いした。現地情報を入手し、拡散するには、両者の参加が必須だからだ。
このネットワークは急成長し、4月8日現在、参加者は300名を超える。




相馬の事例をご紹介しよう。
この地域が悲惨だったのは、被爆を恐れたのか、現地に入るメディアは少なかったことだ。このため、実情は国民に知られず、サポートする人も少なかった。

この状況に突破口を開けたのが、地震医療ネットのメーリングリストである。
例えば、尾形眞一氏(薬剤師)は、毎日、現地の実情が報告してくれた。尾形氏を仲介してくれたのは、私の飲み友達である坂田和江さん(薬害肝炎被害者)だ。
3月17日の投稿では、「この病院が屋内退避になっても、籠城して入院患者を守りたいが、今の南相馬市病院のように、必要な物資が届かない事態になれば死んでいくしかない」、「不用意な発言によりパニックになったナースがいる」「ガソリンが回ってこない。あと2、3日が限界である」と訴えた。


一方、相馬市の立谷市長もネットワークに加わった。
「相馬市は、今や原発から日本を守るしんがりである。相馬市が止めなければ、日本は原発に負けると考えている。科学的な数値に基づけば、相馬市は屋内にいれば放射能から十分に身を守れる。」と「籠城戦」を宣言し、具体的な問題点を挙げ、サポートを求めた。
例えば、「重症患者の搬送が必要だ」、「精神科医が足りない」、「調剤薬局を再開したい」などである。
薬不足と言わず、調剤薬局の再開と求めた点など、地元を再興したという市長の希望を反映しているのだろう。



地震医療ネットは問題解決をサポートした。手段は一つ。メーリングリストを通じ問題を広く周知し、「自分が出来ることをやってください」と求めることだ。
多くの関係者が、これに応じた。例えば、精神科医不足を知った中村祐輔氏(内閣府医療イノベーション推進室 室長)は、学生時代の同級生や知り合いに電話をかけまわり、最終的には徳州会が派遣することとなった。
また、業界関係者の支援を受けたそうごう薬局は業務の再開を決断した。
さらにメーリングリストのやりとりを見ていた自衛隊関係者は、相馬から重症患者を搬送するように調整した。
この間、厚労省や業界団体は情報を収集するだけで、具体的に動くことはなかった。機動力、およびコーディネート力に欠ける。


このようなやりとりを通じ、様々な人間関係が構築された。
例えば、尾形氏は、「そんなところへ、相馬市の立谷市長から突然私の携帯に電話がありました。(中略)また、それら取り組みの情報を知らずにいたことを謝罪し、今後は密に連携して取り組んで行くことにしたいとおっしゃいました」という。
3月22日、尾形氏は立谷市長の直下で震災対策に取り組むこととなった。


また、地震医療ネットの事務局を手伝った岩本修一氏、森甚一氏(いずれも都立病院シニアレジデント)は、週末の休みを利用し、ボランティアとして相馬市に入った。
立谷市長からは、老健施設の診察を依頼された。数日間と雖も、岩本医師が診療に従事することで、現地のスタッフは休むことができただろう。被災現場にとって、フットワークの軽い若手医師は「使い勝手の良い存在」だったに違いない。
尾形氏や岩本氏の活動はツイッターやメーリングリストで紹介され、被災地のために何かしたいという人たちの心を動かした。




原発の放射線漏れ、余震など、まだまだ相馬は予断を許さない。
ただ、このような活動を通じ、国民にはかつてない一体感が醸成されつつある。今回紹介した事例はその一端だ。
果たして、大震災が日本の医療の終焉の始まりとなるのか、再生の萌芽となるのか。それは、これからの我々の行動にかかっている。みな、日本再生を目指して、自らのできることを黙々とやろうではないか。


最後に、地震医療ネットの事務局を手伝ってくれた若者たちを紹介したい。日本大学法学部の五反田美彩さん、小倉彩さん、今春から司法修習予定の西尾浩登さん、青山学院大学総合政策文化学部の中野ゼミの皆さん(清水昇さん、阿部憲史郎さん、中屋心路さん、小嶋万美子さん、櫛田光さん)たちだ。彼らのサポートがなければ、地震医療ネットは機能しなかった。心から感謝申し上げたい。



--------------------------
東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 特任教授  上 昌広



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 13:27|PermalinkTrackBack(0)

2011年04月10日

都知事選挙の結果について

今、投票箱が閉まりました。
おそらく都知事選は大差で石原氏の再選が決まったことでしょう。

これも民意です。
当選者を祝福するとともに、ぜひ熟議と決断の両立をお願いしたいと思っています。
私の石原評については過去のブログをご覧ください。



今回は3月11日の大震災に大きく左右されたのは間違いありません。
残念だったのは、

「大震災に対応して、東京を進化させる」

という強い決意と深い議論にたどりつかなかったことかな、と思っています。
いや、たどりついていたのかもしれないけど、それが「都民を巻き込んでのものとならなかった」ということなのかもしれません。


大震災で浮き彫りになった課題は多岐にわたります。
一部の地域が被災すると全国的なダメージにつながること(「日本全体が巨大なサプライチェーンになっている」)。
官民問わずリスクコントロールが極めてずさんであること。
経済が電力と運転資金の欠乏(さらに言えば経済的な不透明感)に直面していること。
東京圏で言えば、交通機関をはじめとする都市インフラの脆弱さ(その結果として帰宅困難者が大量発生したことは深刻な課題ですね)。
などなど…

これらの課題を解決し、少なくとも折り合いをつけ、危機を乗り越え前進するための議論が求められているのではないでしょうか。
その意味で、今回の都知事選挙はもっと活発な議論をお願いしたかったなぁ。



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 20:00|PermalinkTrackBack(0)

2011年04月09日

ノー選挙カー渋谷

渋谷区議会議員の選挙が近づいてきました。


今回の選挙を迎えるにあたって、やはり様々な「不足」が気になります。
電力不足は緩和され、計画停電の実施も抑えられています。しかしそれは各地の節電があってのこと。
ガソリン不足も解消されましたが、7日(木)夜に起きた余震の影響で、被災地では再び不足の兆しがあるそうです。


そう考えると、今後は選挙そのものが「省エネ選挙」を強いられるのかもしれません。
いや、どちらかというとイノベーションですね。陳腐化した、エネルギーを使うような手立てをできるだけさけ、効率的な手法が要請されるようになるでしょう。


陳腐化しつつある手法のうちの一つは選挙カー(街宣カー)です。
以前から選挙カーについては「うるさい」「聞こえない」「渋滞の原因」等のご意見が根強くありました。


そうした状況やご意見踏まえ、私は今後の選挙活動において、「ノー選挙カー」の方針を取ります。
赤ちゃんや寝ている方を起こさないため、また余計な燃料を使わないために、選挙カーでの連呼行為はしません。

選挙期間中は何十台と選挙カーが使われます。渋谷区議会議員選挙でいえば、候補者が40数名ですから、それだけの選挙カーが渋谷区十にひしめくことになります。
そんな状況の中、政策も伝えられない単なる名前の連呼は、さすがに厳しいと思います。
私はやらないことにしました。


ただ、全く宣伝カーを使わないというわけではありません。
あくまでも「選挙カーが乱立する選挙期間中に使用しない」「連呼行為はしない」ということです。
具体的には、選挙期間に入らないの政治活動としての辻立ちに宣伝カーをマイク代わりに使います。連呼行為等はしません。あくまで短い政策演説を行うときのマイク代わりです。公費(選挙期間中の選挙カー使用は一定部分公費で賄われます)も請求しません。
中途半端なNO選挙カーに見えるかもしれませんが、ご了解ください。


みなさんも地域の候補者がどのような選挙活動を展開するのか、注目してみてはいかがでしょうか。




NO!選挙カー推進ネットワーク



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 17:35|PermalinkTrackBack(0)

学校と保護者・地域社会とのコミュニケーションを考える 〜寄稿していただきました〜

国際大学GLOCOMの豊福晋平准教授に、「学校と保護者・地域社会とのコミュニケーションを考える」として、学校広報の重要性についてついて書いていただきました。

 


学校は教育機関でありますが、多様なステークホルダーに支えられています。
学校の運営基盤としての情報・コミュニケーションは極めて重要であると思っています。

-----------------


学校と保護者・地域社会とのコミュニケーションを考える



「学校と保護者・地域との連携強化」は学校教育の領域でずいぶんと昔から繰り返し強調され続けてきた課題ですが、立派な教育目標に掲げられることはあっても、具体的に「保護者や地域社会と学校をつなぐコミュニケーションにどの程度の配慮や改善がなされてきたか」と問われてみれば、長年変わっていないというのが実情でしょう。
学校教育領域全体の課題からみれば、このテーマは実に些細なものに過ぎないのですが、コミュニケーション手段は関係者をつなぐ土台の役割を果たすわけですから、様々な人々が実際関わる機会も多く、この貴重な機会をきっかけに、少し掘り下げて考えてみた次第です。


旧態依然としたコミュニケーション


保護者や関係者として学校に関わればすぐに分かることですが、学校でもっぱら用いられる情報伝達手段といえば、保護者会等の会合・紙媒体・電話が中心です。

中でも学校から日々手渡される紙文書や資料の類はきわめて大量です。保護者側からは、学校評価のコメント等で、学校からの紙配布物が多すぎて整理に困る、重要な文書を読み落とすことがある、との指摘が良くあります。
ライフスタイルの多様化によって、保護者が情報を必要とする場面は様々なのに、紙の書類が大量に家庭に留め置かれることでかえって情報入手の機会柔軟性を奪っている現状があります。



一方、学校関係者にとって、メールやホームページといったネットメディアはまだまだ使いこなしが難しいように見えます。それらの手段が存在することは百も承知ながら、実際に役立つ使い方になっていない、という言い方のほうが正確でしょうか。

例えば、全公立学校のうち全教員に対してメールアドレスを付与している学校は2010年3月現在全体の51.4%(文部科学省:学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1287351.htm) に過ぎず、教員個人が公式の学校アドレスを用いて対外的なやり取りをすることを難しくしています。
特に市区町村の小中学校の場合は、学校代表や管理職用の限定されたメールアドレスしか持たないことが多く、メールチェックは1日1回から週に1度もしないケースもあり、連絡がスムーズにいきません。

また、全公立学校のうち学校ホームページを設けている学校は全体の86.3%(2010年3月現在)ですが、毎日のように更新している学校はごく一部に過ぎず、大半の学校は年に数回程度の更新で、内容的にも学校要覧(紹介パンフレット)の域を超えるものは多くありません。

つまり、一般生活でのネット利用が浸透し、誰もが気軽に利用する状況になっても、学校と保護者や地域社会をつなぐコミュニケーション手段は、インターネットが爆発的に普及する1995年以前のスタイルがそのまま受け継がれているわけです。



教育委員会や学校側の対応が鈍い理由


このように、学校と保護者や地域社会を結ぶコミュニケーションとしては、大きな課題が存在するわけですが、教育委員会や学校側の対応は概して鈍いものです。

彼らが新しい手段をことさらに敬遠する理由として代表的なものを並べてみると、
・保護者宛にはマメに印刷配布物を出しているので問題ない
・保護者から特に強い不満が表明されているわけではない
・本務以外にホームページ等の業務が加わることで教職員の負担が増える
・インターネットが使えない家庭を切り捨てることになる
などがあります。

これらの理由は一見もっともですが、情報を受け取る側としては、今ひとつ釈然としません。
それは次に述べる2つの視点が学校側の認識から抜けているからです。



対等でない関係から生じる誤解


1点目は対等でない関係から誤解が生じやすいということです。
対等でない関係は、行為者と被行為者、情報発信者と受信者といった一方的関係を強めるので、強い立場はより物事を強いることが多くなり、弱い立場は、判断や行為を委ねることで依存的になります。立場の優劣がはっきりするほど、弱い立場の人は表立てて反対や疑問を表明することを抑圧し、同時に「〜してくれない」という依存的不満や被害者意識を蓄積させやすいと言えます。

学校側は子どもを指導・評価する立場にありますから、学校と保護者との関係は対等ではありません。保護者側は依存的受動的立場に置かれることで、ちょっとした不安や不満を直接伝えにくく、学校側がそれらに気づきにくい状況を作り出します。
例えば、学校を介さず直接対象者にネットアンケート調査を行った結果(豊福(2009)一般社会人を対象とした学校広報に関するオンライン意識調査,日本教育工学研究報告JSET09-2 pp.93-100 http://www.i-learn.jp/eduwoods/doc/090412jset.pdf)では、学校からの情報提供に対する充足度は、ポジティブな回答をすべて合わせても半分に達しませんでした。


つまり、学校側がたとえ「広報は十分だ」と考えていても、それは単に伝える側の都合であって、保護者や地域社会からのニーズに寄り添ったものである保証はどこにもありません。
保護者側から直接不満や意見がもたらされなくても、学校側が先回りして要望や不満を把握し、丁寧な対策をあらかじめ講じる必要があることを示しています。



メディア環境の変化による相互関係の変化


2点目はインターネットの普及とメディア環境の変化に伴って、学校側と地域市民や社会との関係や立場もまた変化していることです。
冒頭に紹介した1995年以前のコミュニケーション手段とは、会合のために個人の時間を都合する必要があったり、あるいは、紙資源を大量に消費して一方的に情報を送りつけるマスメディア的方法に限られていた訳ですが、ホームページやソーシャル・メディアの登場普及によって、コミュニケーションの手段・機会はより柔軟なものへ変化してきました。

マスメディア的方法が情報発信者からの一方的な「プッシュ型メディア」であったとすれば、ホームページやtwitterやfacebookといったソーシャル・メディアによって、個人の関心にあわせて選択可能な「プル型メディア」の活用が前面に押し出されるようになったのが、現代の特徴であると言えます。
プル型メディア(例えばホームページ)は、プッシュ型メディアに付きものの配布部数(対象者)や紙面・頁数(内容量)の壁を取り払ったことで、特定の話題に興味関心を抱く人であれば、誰でも、いつでも、納得のいくまで情報の深掘りをすることができ、さらには、ソーシャル・メディアを介して積極的関わりを持つことも可能です。
近年、公共機関や企業に求められるようになったアカウンタビリティ(説明責任)や外部透明性の流れもまた、メディア環境が変化したことに呼応したものと言えるでしょう。


残念ながら、教育委員会や学校は、旧来のプッシュ型メディアに依存しているために、‖仂櫃魄刷配布物の行き届く範囲の狭いコミュニティに囲い込み、また、∋飜未諒理的制限から、対象者像を一様に受動的依存的なのものとみなしがちです。ゆえに、学校からの情報発信は次第に形式的になり、受け手からのフィードバックに配慮しない貧しいものにとどまっているように見受けられます。



デジタル・デバイドの対岸に残された学校


これら2つの視点について、教育委員会や学校が未だ十分認識できず、1995年以前のコミュニケーション手段に囚われているのは、行政機構自体がデジタル・デバイドの対岸に取り残されている証拠(行政デジタル・デバイド)と言っても過言ではありません。


インターネットが利用できない層が存在することを理由に、コミュニケーション手段を改善工夫しないのは、逆に、メディアを柔軟に使いこなす層が積極的に関わる可能性を無駄に捨てているのと同じことです。
冒頭に述べたような、学校と保護者・地域社会との連携強化を実際に進めるためには、まず、日常的な相互コミュニケーションの手段が現代生活にあわせて最適化される必要があります。


では、仮に学校広報の依存強要的な関係とマスメディア的なプッシュ型メディア偏重を排したとすれば、どのような効果や展開が考えられるでしょうか。


もちろん、デジタルかアナログかの二者択一のような話や、システムを入れればすべてOKというような安直な解決ではなく、むしろ、学校広報の意義(ドイル・ボートナー(1972)によれば、「学校広報とは、学校と対象との間で十分理解し合い、友好的な協力関係を築くために行う活動」と定義されています)や目的に立ち返って体系的なメディア選択と組織的運用がなされることが理想でしょう。
具体的には、プッシュ型メディア(紙媒体や携帯メールの一斉同報)で伝達する情報量を最低限の基本とする一方で、大半のオプションをプル型メディアに移行することが一番現実的と言えます。紙媒体で配布した情報もすべてホームページに納めてしまえば、いつでもどこからでも必要な情報を引き出すことが出来るわけです。



学校ホームページはおそらくプル型メディアの中心として重要な役割を果たすことが期待されますが、その要点として次の5点を指摘しておきたいと思います。


.曄璽爛據璽犬良広い閲覧者が学校の社会的評価を形成する


オープンなホームページを閲覧する対象者の広がりは、学校の社会的評価(評判)を形成します。人の口に戸は立てられぬと言いますが、学校側から対象者が得る情報が極端に少なければ不信や悪い噂の種になり、逆に、情報が正確で豊富になるほど、学校自身が評判のディテールを決定できるようになります。


例えば、転勤の際、転校先を決めてから転居先を探す方は意外に多く、特に遠隔地の場合は学校ホームページの情報が決め手になるというのはよく聞かれる話です。


ホームページは、あくまで学校に関心のある人しか訪れないのですが、たとえそれだけでも、広報対象は保護者のみならず、学校側からは直接到達できない人々、例えば、保護者以外の家族、近隣の人々、卒業生、あるいは、当地に転入学を考えている保護者にまで広がる可能性があるわけです。



日常の地味でベタな情報が信頼関係に


学校ホームページでは、何でもない地味な日常の情報こそが最も必要とされます。
ホームページの品質は、更新頻度の高さに比例するといっても言い過ぎではありませんが、加えて、保護者や関係者が求めるのは、学校の日常描写そのものです。学校での様子をタイムリーに知らせることが、保護者を最も安心・納得させ、学校との信頼関係を強化します。


ちなみに、もとは学校単独で運用されることが多かったホームページですが、近年では、愛知県一宮市や大阪府堺市など自治体教育委員会単位で積極更新に力を入れているケースも増えてきています。



B人佑塀颪手と多面的な記述


J-KIDS大賞2010(第8回全日本小学校ホームページ大賞)で総務大臣賞を受賞した和歌山県・新宮市立王子小学校(http://net-kumano.com/ouji/)では、校長をはじめとして、各学年の授業の様子や栄養士さんによる給食紹介、子ども達の広報委員会、保護者ボランティアの方々など、様々な立場の書き手から数多くの記事が寄せられています。


たとえ派手な学校行事がなくても、普段の授業風景や給食の様子を記事として残せば、学校の営みが持続的に記録蓄積されます。それゆえ、ホームページの運用は担当者一人ではなく、多様な記述者によって組織的に行われることが望ましいと言えます。



だ眛世簗簑蟆魴茲里茲蠅匹海蹐箸靴


紙の学校だよりに堅い話を掲載しても、即全員に読んでもらうことには無理がありますが、ホームページの場合は少々事情が違います。
学校の日常が明らかになるほど、背景にある考え方や教育姿勢・成果を知りたいという要望は少しずつ着実に増えてきます。


特に、年に1〜数回保護者や地域を対象として行われる学校評価アンケート(外部アンケート)では、ホームページに評価根拠を求める機会も増えるでしょう。


例えば、J-KIDS大賞2009で総務大臣賞を受賞した新潟県・新潟市立亀田東小学校(http://www2.schoolweb.ne.jp/swas/index.php?id=1510002)は、保護者の正確な評価のため、学校ホームページに蓄積された膨大な記事を評価指標に応じて編集し直し、評価用資料として公開しています。この事例のように、学校運営に踏み込んで情報共有しながら問題解決を図ることが、ひとつのスタイルになるでしょう。



サ蚕囘な困難と負担を軽減する環境


ホームページ運用上の一番の課題は、運用担当者に負荷が集中しやすいことでした。特に、旧来のホームページ作成ソフトを用いた管理では、使える人が限られる上に、書き手が複数になった時点で柔軟な管理ができなくなってしまいます。
日常的広報が学校の記録蓄積にも役立つとはいえ、教職員の負担を増やしすぎては意味がないので、高い更新頻度を誇る学校の大半は、ブログやCMS(Content Management System)と呼ばれるシステムを用いたり、部分的にtwitterなどのソーシャル・メディアを取り入れたりして、技術的ハードルと管理の煩雑さを乗り越えています。


また、ホームページ以外では、関係者と円滑に連絡や情報共有が出来るように、公式メールアドレス付与やオープンなインターネットアクセスを前提とした教職員のネットワーク利用環境が求められるでしょう。



学校と保護者・地域社会が共鳴し合う関係へ


冒頭に述べたように、学校と保護者・地域社会のコミュニケーションは地味なテーマですが、学校の信頼や社会的評価(評判)に関わる領域でもあり、今後の学校経営や地域社会のありかたに与える影響は決して小さくありません。
現代生活にマッチしたコミュニケーションの最適化は、学校と関係者とのつながりをより柔軟かつ密接なものにし、高度な問題解決を協働するためには欠かせないものとなるでしょう。


また、学校側がコミュニケーション手段を現代生活に合わせて最適化できないのは、立場や認識の違いが障壁となって、新しい可能性を見いだせていない、デジタル・デバイドが原因としてあげられるわけですが、そもそも構造的に保護者側や学校教育内部からの問題提起が難しい課題でもある、ということもお分かりいただけたかと思います。


こうした学校特有の問題に頭を悩ましている一人として、この文章が学校領域外からの気づきと働きかけにつながればと思い、寄稿させていただきました。


-----------------
国際大学GLOCOM 准教授・主任研究員 豊福晋平


備考

・筆者(豊福)は、学校広報と学校ホームページに関する情報サイトを1995年から運営しています。ホームページの更新実績が高い学校を簡単に検索することができます。http://www.i-learn.jp/
・文章中でご紹介した小学校が受賞したJ-KIDS大賞(全日本小学校ホームページ大賞)はこちら http://www.j-kids.org/



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 13:29|PermalinkTrackBack(0)

2011年04月08日

各分野の専門家からアドバイスをいただいています!

渋谷区議会議員としての3期目に向けて、様々なテーマで寄稿していただきました。
行政における教育やリテラシーの在り方、3.11を踏まえた地方自治体のビジョン、放射線問題など、どれも示唆に富んだ深い内容です。

このブログは、有権者の皆様方に私の考えなどを知っていただくためのものです。
私が関心を持ち、また学んでいることをお見せするのは非常に大事だな、と考え寄稿して頂くことにしました。

皆さんも是非ご一読ください。


・「図書館の希望 希望の図書館」山中湖情報創造館 指定管理者 館長  丸山 高弘 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51883111.html

・「市民のネットワークが被災地を救う: 地震医療ネットワークと相馬市」東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 特任教授 上 昌広 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51882392.html


・「学校と保護者・地域社会とのコミュニケーションを考える」国際大学GLOCOM准教授 豊福 晋平 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51881785.html


・「子どものネット利用−現状と課題−」千葉大学教育学部教授 藤川 大祐 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51879990.html


・「これからの行政・教育にできること」上越教育大学教職大学院教授 西川 純 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51879438.html


・「自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ」経済評論家 渡邊 哲哉 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51879193.html


・「「正しく」怖がる、放射線」東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学特任助教 五十嵐 中 氏
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51878692.html



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 13:22|PermalinkTrackBack(0)

2011年04月03日

子どものネット利用−現状と課題− 〜寄稿していただきました〜

千葉大学教育学部の藤川大祐教授に、「こどものネット利用」についての現状分析と課題について書いていただきました。

 

ネットからこどもを引き離せば終わりではありません。
インターネットがもはや必要不可欠なインフラとして機能している以上、適切な教育が必要不可欠です。
ぜひご覧くださいませ。

-----------------


子どものネット利用−現状と課題−


1 子どものネット利用の状況

1999年にNTTドコモが「iモード」サービスを開始し、2001年に当時のJフォンが「写メール」サービスを開始して以降、18際未満の子どもたちの携帯電話利用が増えています。
内閣府による「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2011年2月)によれば、携帯電話を持っていると答えた者の割合は、小学生で20.9%、中学生で49.3%、高校生で97.1%です。
自分専用のパソコンを持っている者が少ないこともあり(小中高すべてで6.6%)、子どものネット利用の主役は携帯電話となっています。

子どもたちは友人とメールを交換したり、匿名でコミュニティサイトを利用してさまざまな人々と交流したり、自らのプロフィールページやホームページを公開したりと、さまざまな形でネットを利用しています。


子どものネット利用に関しては、事件やトラブルに発展することが問題となっています。
まず、子どもが児童買春、淫行、児童ポルノ等の福祉犯の被害に遭うことがあります。こうした犯罪はネットの普及以前にも街頭での声かけやテレホンクラブ等によって生じており、現在でもネットと無関係に生じている事件が多くあります(平成21年版青少年白書 では平成20年=2008年の被害者数は7014名で、5000名以上はネットとは無関係の被害だと推測されます)。
他方、ネットが普及して以降、「出会い系サイト」をめぐる犯罪が増え、2008年には出会い系サイト規制法が改正されて、利用者の年齢確認が必須となり、「出会い系サイト」をめぐる福祉犯は減少しています。現在では、「非出会い系サイト」、すなわち一般のコミュニティサイト(双方向の交流ができるサイト)での福祉犯被害が多くなっています。

次に、ネットいじめや学校間抗争といった問題があります。
メールやサイトで悪口を書いたり、他人になりすましてプロフィールサイトに書き込みをしたりするネットいじめは、中高生のいじめの1割〜2割程度を占めるようになっています(文部科学省「平成21年度生徒指導上の諸問題に関する調査」 )。
中学生が学校名等がわかる状態でプロフィールサイトに「喧嘩上等」などと書いた書き込みを他校の生徒が見たことがきっかけで、学校間抗争が勃発することもあります。

他にも、チェーンメールがまわったり、「無料」をうたうサイトで料金を請求する詐欺の被害に遭ったり、殺人予告をサイトに書いた子どもがいたりと、さまざまな犯罪・トラブルが生じています。

さらに、子どもの生活習慣や人間関係にかかわる問題も懸念されます。
メールを早く返さなければいけないという強迫観念から友達とのメールがやめられなくなったり、コミュニティサイトでの交流から抜け出せなくなったりといった依存傾向を示す子どもは珍しくありません。当然、睡眠不足になったり、家族との会話や勉強の時間が削られてしまったりすることにつながります。
また、常に誰かとつながって同調し続けることのストレスが大きい場合もあり、子どもたちの抑うつ傾向とのつながりも懸念されます。


ネットを利用する子どもの多くは、大きな問題なく、適切にネットを利用しています。
さらには、各界で活躍している人とネットを通してかかわったことがきっかけで、ビジネスや社会貢献の活動を始めたり、進路選択の参考にしたりする中高生もいます。あらゆる子どもをネットから遠ざけることが得策というわけではありません。



2.基本的な対応

このような状況の中、子どものネット利用に関しては誰がどのような取り組みを進めるべきでしょうか。


基本的な考え方としては、子どものネット利用を制限する方向での取り組みと、子どもが適切にネットを利用できる能力(メディアリテラシー)を育成する方向での取り組みとを、さまざまな主体が連携して進める必要があります。
子どもが幼い段階では利用制限を中心とし、徐々に教育の比率を高めていくことが求められます。

ネット利用制限の取り組みの中心は、携帯電話会社が提供するフィルタリングです。
フィルタリングとは、青少年にふさわしくないサイトへのアクセスをさせない機能のことです。基本的に「ホワイトリスト」(あらかじめ決められたサイトにしかアクセスできない)と「ブラックリスト」(あらかじめ決められた種類のサイトにアクセスできない)があり、一部の形態電話事業者はこれらに加え、「カスタマイズ」機能(特定のサイト等へのアクセスを可としたり不可としたりする)を提供しています。
2009年に施行された青少年インターネット環境整備法 では、18際未満の青少年が利用する携帯電話には、保護者から不要という申し出がない限りフィルタリングを提供することが事業者に義務づけられています。

前出の内閣府調査 (保護者対象)によれば、フィルタリング(インターネット利用不可も含む)の利用率は小学生(10歳以上)77.6%、中学生67.1%、高校生49.3%。以前に比べれば利用率は向上しているものの、さらに普及させることが求められます。
警察庁の広報資料「非出会い系サイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について」(2011年10月) によれば、非出会い系サイトに関係して福祉犯被害に遭った18際未満の青少年の98.5%がフィルタリングに加入していないことを見ても、フィルタリングの普及は重要な課題です。

他方、教育としては学校教育における対応が基本となります。
小学校で2011年度から、中学校で2012年度から、高校で2013年度から、新しい学習指導要領が施行されます。新しい学習指導要領においては、情報モラル教育の充実がはかられており、各教科、総合的な学習の時間、道徳等で各学校が体系的に情報モラル教育を進めることが定められています(文部科学省「教育の情報科に関する手引」検討案第5章  参照)。



3.今後の課題

青少年インターネット環境整備法には施行から3年後の見直しが定められており、現在、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、警察庁等が連携して見直しに向けた検討を進めています。
こうした中で議論されていることも含め、私なりに今後の課題を列挙してみます。


・スマートフォンが急速に普及しており(前出の内閣府調査では2010年秋時点で中学生2.6%、高校生3.9%が利用 )、スマートフォンからのネット利用が今後増えていくことが予想されます。
、無線LANでフィルタリングが機能しないスマートフォンが多い、フィルタリングの設定が複雑すぎる、アプリからの接続ではフィルタリングが機能しない場合がある等の課題が生じている。
・ゲーム機や音楽プレイヤー等でのネット利用も増えており、こうした機器ではフィルタリングが使われないことが多い。
・石川県が条例で小中学生に携帯電話を持たせないことを保護者に求める等、地方自治体が青少年インターネット環境整備法と矛盾する施策をとることが出てきている。
・学校が多忙化する中、情報モラル教育への取り組みが十分になされていない学校が多い恐れがある。


2011年3月に発生した東日本大震災では、テレビが伝えない情報をネットが伝えていたり、ネットでデマ情報が流れたり、緊急地震速報や災害時伝言板が活用されたりと、携帯電話やインターネットの利用がさまざまな形で注目されました。
状況が多様で非常に広い被災地を支援するために、情報による支援も重要な課題となっています。
今後私たちは、震災後の経験をふまえて、子どものネット利用のあり方をさらに検討していくことが必要です。


-----------------

千葉大学教育学部教授 藤川大祐
ブログ http://dfujikawa.cocolog-nifty.com/jugyo/


このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 17:30|PermalinkTrackBack(0)

2011年04月01日

これからの行政・教育にできること〜寄稿して頂きました〜

上越教育大学の西川純教授に、「幸せ」についての価値観の変化、そして変化に寄り添うことによって行政と教育はどんなことができるのか、について書いていただきました。

単なる「コミュニティの再生」というお題目ではない、とても深い内容です。
ぜひご覧くださいませ。

-----------------


等身大の行政・教育に出来ること


幸せのイメージと行政
 何を幸せとイメージするかで行政に求めるものは違います。そして教育に関してもです。


 多くの保護者は、子どもの学力向上を求めます。小学生の時は、単純に健やかであればと願っていたとしても、高校受験・大学受験を目の前にする中高に進学すればテストの点数に一喜一憂します。
 その声に応えて、全国学力調査の順位、東京大学進学者数を上げようと各学校に檄を飛ばします。

 これらは、偏差値の高い学校を卒業して、一流企業に就職させたいという願いです。そして、なんだかんだ言ったってお金や地位が幸せに繋がるという仮説です。その仮説は概ね正しいと思います。


 しかし、それと違う保護者もいます。
 ある地方の温泉街にある小学校の先生は保護者から「勉強を教えないで欲しい」と求められるそうです。
 その学校の先生からその話を聞いたときは唖然としました。保護者は「勉強が分かると大学に行きたがるようになる。大学に行けば地元に戻ってこない。恥をかかない程度で十分だ。」と言うのです。

 この保護者の考える幸せとは、家業を継いで3世代、4世代で普通に生活する生活が幸せに繋がるという仮説です。


 二つはそれぞれに正しく、それぞれに極端です。
 しかし、私は温泉街の保護者の方が正しいように思うのです。なぜなら名門大学、一流企業の定員は限られています。もし、それが幸せであると考えれば、圧倒的大多数は不幸となります。


 みんなが実現できる幸せ、それはごく普通の幸せだと思います。それを実現するには何が必要なのでしょうか?
 新幹線・高速道路でしょうか? それには膨大なお金がかかります。日本国首相並みの人でも、数十キロ延伸することが出来ないのではないでしょうか? 大規模な施設でしょうか、それも予算がかかります。

 福祉でしょうか? 福祉にはお金がかかります。ところが支える側が支えきれないほどの社会になっています。
 消費税を上げても、国レベルで見れば、右のポッケから左のポッケに移動しているだけです。ポッケの中のお金の総額が変わらず、必要となるお金が多くなれば、どうしょうもありません。


 では、どうするか。それは、今までお金をかけていたことが、お金がかからなくなり、逆に、お金を生み出すようになればいいのです。

 

手つかずの資源
 日本中の全ての地域には素晴らしい資源があります。手つかずの大鉱脈があります。
 石油でも、金でも、レアメタルでもありません。それは家族であり、一緒に時を過ごした友です。
 この人と人との繋がり、それも等身大の繋がりこそが、予算をかけずに大きな価値を生み出す大鉱脈だと思います。


 例えば、共稼ぎの家庭にとって、小さい子どもの育児は大変です。働いても、給料の多くが育児にかかります。
 その一方、人に求められることなく、自分の生きる意味を見いだしかねている高齢者もいます。それならば、その人が育児を出来たら、良いのではないでしょうか? 昔の大家族はそうやっていました。それだから、子だくさんの家族が成り立っていました。

 教育にお金がかかります。しかし、退職した教員の数は少なくありません。なにしろ日本人口の約1%は小中高の教員なのです。その教師が無料の塾を運営したらどうでしょうか? 

 教員以外にも様々な能力を持った高齢者はいっぱいいます。それらの方々は大きな資源です。


今後の行政でできること
 かつての社会は、規格化し、大規模化し、統制するという大規模工場的なものが効率がよいと考えられてきました。
 しかし、一人一人が自分にあったライフスタイルを求めるようになれば、個性化し、小規模化し、自由なもののほうが効率が良くなります。

 行政もそのような施策があってよいのではないでしょうか?
 例えば、以下のようなものがあります。


●二世代・三世代家族の再生

 教員の世界は女性の社会進出が最も進んでいます。子どもが多い家庭の多くは親と同居しているか、きわめて近いところに住んでいます。例えば、二世代住宅を新築したり、親と近い場所に住む場合は、税制上の優遇措置があっても良いのではないでしょうか?

●職場と家

 通勤時間が1時間、2時間もかかれば家族・友人との時間を確保できません。例えば、地元企業が職場に近い住居を持つ職員に住宅手当に優遇措置をする場合は、その一部を補助することがあっても良いのではないでしょうか?また、職員に税制上の優遇があっても良いのではないでしょうか?

●保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・高齢者施設の併設

 高齢者はどんどん増えていきます。もし、高齢者にお金をかけていたら限界があります。しかし、高齢者が保育者になれば「資源」となります。また、小中学校の総合的な学習の時間を活用すれば、子どもたちは支援者となれるのではないでしょうか?もし、建物が近接しているならば、色々な試みが出来ます。

●小規模施設

 大規模な公共施設ではなく、小規模な公共施設を数百mに一つ、確保するのです。広さは20畳程度でトイレと水場があり、折りたたみ式の机と椅子が20人分ほどあります。シンプルな作りであれば色々に活用できるでしょう。例えば、地域の人たちの材料持ちよりの飲み会、子どもたちが集まって受験勉強(そこに地元大学生が教員採用試験の受験勉強をするというもありです)、地域の人主催のカルチャーセンター等が考えられます。とりあえずは小中学校の一部改造によって確保できるのではないでしょうか?

 

一人も例外の無い幸せを実現するための『学び合い』

 おそらく、上記のようなことをやればかなりのことが出来ると思います。そして、家族・親戚・友人のネットワークは形成されるでしょう。
 しかし、残念ながらそのネットワークの広がりは二三十人のレベルを超えないでしょう。
 考えても見てください。あなたの家族・親戚の数は何人ですか。今も交際している小中高の友人は何人でしょうか? 

 我々ホモ・サピエンスは群れを作る本能を持っていますが、その群れの大きさはそれほど大きくはありません。
 それを越えた群れを作るには教育の力が必要です。


 私は『学び合い』という教育の考えを提案し、日本中の小中高で実践されています。
 『学び合い』を一言で表現すれば、「一人も見捨てない」ということが道徳上の徳目ではなく、実利的な「得」であることを、毎日の国語、算数・数学、理科、社会・・・の勉強の中で学ぶ教育です。
 子ども達は、クラスの仲間を絶対に見捨てないことを毎日、毎日学ぶのです。


 『学び合い』の授業風景は以下のようなものです。
 授業の開始のベルが鳴ると教師が登場します。そして、「今日の目標は、教科書21〜24の問題を全員が解けるようにすること」(体育だったら「全員が逆上がりが出来ること」)のような短い課題を口頭で述べ、黒板に書きます。

 「さあ、どうぞ」と教師の合図で、子ども達は立ち歩いて自由なグループを作ります。
 自由に作るのですが、いわゆる好きなもの同士のグループではありません。毎日、毎時間、さまざまなグループを子ども達は作り、その新たな組み合わせを楽しんでいます。

 子ども達は「分からない人いない?」や「教えて〜」と声を上げ、熱心に説明しそれを聞きます。生半可な説明では納得せず、別な人に聞きに行きます。
 その様子は、活気のある新聞社の締め切り前、文化祭前日の準備の様子です。
 かなり騒がしいですが、遊んでいる子は一人もおらず、全員が必死になって勉強します。 それが30分数分続くのです。その間中、教師はニコニコしながら机間巡視をしています。

 授業の終了前5分程度になると自然と席に着き、教師の話を待ちます。
 教師は、全員が出来たか、そして、全員が出来るために全力を尽くしたかを問い、まとめます。
 それは野球部の監督が、練習の最後に訓辞でまとめる様子に似ています。それが毎日、毎日、続くのです。


 かなり異常な様子ですが、成績が上がります。
 なんとなれば、今の日本には塾・予備校・通信教材を通じて、教室で学ぶ内容を既に学んでいる子どもは2割以上います。
 普通の授業では、教師の手前、知らないふりをしています。しかし、『学び合い』では、その知識を活用して教えるのです。二三人の教師がティームティーチングするレベルを超えた個別支援が出来ます。

 また、子どもも分からないと同級生には言いやすい。
 そして、最後の最後までみんなが出来るようになるため必死になります。
 ある子は自分のためではなく、同級生のために予習するようになります。
 そして、教えられる子も周りの同級生の期待に応えるために復習するようになります。 体育祭のためにクラスが一丸となって燃え上がるとき、クラスの人間関係が向上するのと同じことが起こるのです。そして、それは年1回の体育祭ではなく、毎日の勉強でそれが出来るのです。
 そのような集団では、絶対に見捨てられないのです。それが『学び合い』です。今、日本全国に急激に広がっている最先端の教育の考え方です。


 想像して下さい。幼小中高の多感な15年間、常に見捨てられないという安心感と、相談できる仲間を得られたとしたら、その子たちはどのような大人になり、どのような仲間を得るでしょうか?
 そして、それを核として、保護者がネットワークを組んだならば、どんなことが起こるでしょうか?保護者は学校は「息子(娘)の学校とは呼ばず」、「うちらの学校」と呼ぶのです。


 私の考えるユートピアには、空想科学小説のような新技術は必要ありません。
 そこには人と人の繋がりがあればいいと思います。

 生まれたときに数百人の人たちに祝福され、悩んだときに相談出来る人が100m以内に数十人いる社会で一生を過ごし、死ぬときに数百人の人に見送られる社会です。
 そして、そのネットワークを一人の例外もなく持てる社会です。
 それは今の我々は実現可能だと思っています。それも、我々の存命中に。


注 紙面の関係で『学び合い』に関しては割愛したが、興味のある方は「『学び合い』スタートブック」(学陽書房)、「気になる子の指導に悩むあなたへ」(東洋館)を参照下さい。

-----------------

上越教育大学 西川純教授
http://www.iamjun.com/



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 17:50|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月31日

「自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ」〜寄稿して頂きました〜

経済評論家の渡邊哲也氏に、この度の国家的な「危機」に直面して、地方自治体が見据えるべき今後の日本経済の推移とその対応策について書いていただきました。

示唆に富む内容です。
ぜひご覧くださいませ。

-----------------

自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ


 今回の東日本大震災で被災された方にお見舞い申し上げます。


 今回の震災では、地震、津波、原発という3つの災害が同時に襲いかかりました。
 地震による災害は、このように複合化した災害を呼び込み、それが全国的な麻痺として、被災地域だけでなく、広範囲に影響を与える可能性があります。


 まず、今後を考える上で今回の災害の最大のリスクは、原発問題の長期化と電力不足問題となります。
 原発の影響がどこまで及ぶのか、そして、いつまで及ぶのかが大きなリスクとして、被災地域の復興の妨げとなるでしょう。また、長期的な電力不足により、消費と生産活動が抑えこまれ、それが景気の悪化を促進することになると思われます。



第一章 災害から見えた日本の弱点

■今回の震災の教訓

 今回の災害で明確化した問題点で言えば、「日本全体が巨大なサプライチェーンになっている」ということです。

 一言で言えば、製造業で言う「カンバン方式」が流通や燃料などのインフラ部分にも及んでいるということです。POS化により、店舗は在庫を最小限にとどめ、問屋からメーカーまで一律に必要なものを必要なだけしか作らず、在庫を持っていないリスクが顕在化したといえるでしょう。解りやすく言えば、コンビニがその典型で、一度に急激な需給バランスの変化が起きたときに極端な物不足が発生し、対応できない経済形態となってしまっているのです。

 また、今回の震災でのガソリンや灯油などの不足の原因の一つは、石油会社の合併による油槽所(タンク)集約ともいわれております。
 全国各地に分散されていた小さな油槽所が廃止され集約されたことで、ひとつの油槽所にかかる負担が大きくなり、被害が発生したときのリスクを拡大させたとも言われております。


■自治体で出来ること
 災害時を見据えた物資調達をどうするのか、自治体域内にあるリスクはどこにあるのか、そして、そのリスクをどのように軽減するかを真剣に考えるべきでしょう。

 地震災害により発生する破壊を抑制するリスクコントロールに対して自治体は援助すべきでしょう。
 今回の千葉の油槽所火災を見ても、手に負えない状況が非常に長く継続しました。平時における企業との連絡通報システムの拡充と前もっての優先付けが必要になると思います。

 また、自治体における非常時備蓄も域内備蓄と他地域での備蓄の拡充が必要と思われます。
 人口の多い東京などの場合、他地域での備蓄や避難所の前以ての確保が重要でしょう。今回も一部が利用されることになっていますが、廃校や余った公営住宅が全国に点在しています。これを平時から都市の自治体が借り受けておき、使える状態を維持するという対策ならば、大きなコストは掛かりません。また、地方の工業団地には空き工場が沢山あります。これを備蓄拠点として活用するということも考えるべきではないでしょうか。

 
第二章 経済予測

■原発問題と電力不足
 前文でも述べましたが、中長期的に日本経済に大きな負担となっているのは、原発問題と電力不足です。
 原発近隣地域での生産は再開の目処が立てられず、電力不足は東京電力管内の静岡県まで及びます。このエリアにおいては、施設が復旧しても完全な生産が継続できない状況が長期化するとみられています。すでに、企業の一部では他の地域での増産だけでなく、部分的な生産移転を考慮しており、早期の電力確保計画が立てられなければ、この動きは拡大するものと思われます。

■資金ショート観測
 鉄道インフラの混乱と消費自粛の拡大により、3月11日から急激な消費減退が発生しています。これはリーマンショックを越える企業倒産を誘発させかねません。

 短期側面で見た場合、まずは決済資金のショートによる倒産をどのように防止するかという即時の対応が必要です。いくら黒字の企業でも、資金ショートが発生すれば倒産の憂き目に会います。これを阻止できるかが大きな問題となります。
 そして、中長期側面で見た場合、長期安定資金の貸付が重要な意味を持ってきます。長期の安定した手元資金を供給することで、企業は今後の生産計画の策定が可能になり、復興に向けての活動を始めることができるようになります。



第三章 行政に望まれる対策

■災害対策

 原発対応や電力不足を電力会社に任せておくべきではないと思います。国家が積極的に関与し、電力融通施設の拡充と自家発電など短期間に対応できる部分を支援しなくてはいけません。
民間だけで出来ることには限界があります。そして、行政に出来ることも限界があります。ですから、行政が積極的に責任を取る形での官民一体対応でなければ前に進まないと思います。

 先日、タイ王国の好意により発電所一式が日本に貸し出されることが公表されました。そして、この施設は8月には可動可能との事です。早急に国は同様の発電施設を持つ国への打診すべきでしょう。外交は国家が行うべきものであります。

 また、電気の融通の拡大を含めた日本国内の電力供給システムの再構築も重要になると思います。この部分においても、非採算部分は国が積極的に関与すべきです。

 この目処がいつまでにどの程度立てられるかが、今後数十年単位での東日本経済を決める鍵になるでしょう。ここでコントロールに失敗すると、街の形は戻っても、産業と雇用が失われた都市ができるだけとなりかねません。
 これは首都東京にも言えることであると思います。


 さて、地方自治体の観点で見た場合、国の対応にどのような協力ができるかと言う事になります。国の動きに連動する形での発電施設などのための場所提供や、その施設までの水道や下水道など周辺環境部分のインフラ支援ということになります。

 また、省電力への協力も重要になると思います。
公共施設で使われている白熱電球を効率のよいLEDや電球型蛍光灯に変えたり、公共施設のガス冷房化、学校など避難所機能を持った施設への自家発電や太陽光パネル設置など、現在の省エネルギーと将来の安全確保という二面を持った施設更新が可能であると思われます。

 また、ディケア施設や訪問介護のしくみを利用して、生活弱者である高齢者のさらなる実態把握を進めるべきでしょう。同時に省エネへの協力を求めることも可能であると思います。
平時での非常時インフラの整備と協力体制の構築が非常時での被害者を最小限に留める原動力ともなります。

 そして、緊急時の物資の供給と安全確保は行政の要となるものです。
今回の場合、水など生活基本物資の不足が問題となっています。この原因の一つとして、買い占めが指摘されております。備蓄は当然として、地域住民に対して、どのように安定配布するのかという仕組みの再構築も重要となると思われます。
 確実に手に入るのであれば、買い占めの意味がなくなり、探し求める無駄が減らせますので、交通インフラを含めた混乱要因を取り除くことが出来ます。

■金融政策

1,短期政策
 すぐに対応できる「つなぎ融資制度」を拡充し、誰でも一定額を借り入れることが出来る仕組みを構築する必要があります。
 まずは、このような非常時ですので、金融機関などと協調し、資本額や売上げに合わせ、一定額を無条件で借りられる特別制度などが有効であると思います。
 この制度は、期間を30日から90日程度で設定し、銀行側にリスクを取ってもらい5−7%程度の金利で貸し出す制度です(悪質な金融業者などに頼らないで良い仕組みを作る)。


2,中長期政策
低利の安定資金制度と借り換え制度の拡充

 これは行政の支援による斡旋融資となり、行政による担保の提供により、安心して長い資金を借りやすい状況を作るわけです。すでに、リーマン・ショック後の危機対応により大幅に拡充されましたが、これを延長し、さらに使いやすいものにする必要があると思われます。
 すでにモデルケースがありますので、予算と内容の拡充決定だけで可能です。

 何故、このような二面対応とするかといえば、議会での結論を待っている時間はありません。ですから、まずは民間に協力してもらい、財源を必要としない危機対応を確保することが大切です。
 そして、事後的に行政がそのリスクを引き受ければいいのです。これは行政と金融機関の調整と話し合いで可能であると思われます。
 これがどこまで出来るのかが今後の復興の課題であり、日本経済の先行きを決定づけるものになると思われます。

 中長期的に見れば、復興需要は必ず生まれます。この段階に移るまでの間、企業を継続させ、雇用を安定させる必要性があるわけです。
 このリスクコントロールに失敗すると、失業者を生み出すだけでなく、復興需要が海外に奪われる可能性も高いと言えるでしょう。

 さて、こちらも地方自治体で何が出来るのかということになります。
 基本的に行政による斡旋融資の実施主体は地方自治体です。産業振興課などを通じて、各企業の実態把握を進めると同時に、もっと使いやすい制度が構築できないか考えるべきでしょう。
 また、地元金融機関との協力体制を拡大し、各役所での一元化した緊急窓口の拡大とその告知に務めるべきであると思います。行政が把握する企業に対して、行政側からパンフレットを配布するだけで、大きく認知度が高まることと思われます。
 税務上の優遇処置や補助金などはわかりにくいものが多く、知ると知らないでは大きな格差が生まれているのが現状です。この徹底をはかり、住民の安心感を高めてゆくことができるはずです。


 危機時における信用収縮は、相互の疑心暗鬼(連鎖倒産を恐れるがゆえに取引規模を縮小する)が生み出す部分が非常に大きいのが現実です。この部分をどのように取り除けるかは、国だけでなく、緊急融資の直接的な窓口となる都道府県や市町村の行政であるとも言えるでしょう。


「一刻も早く安心感を与え企業の継続が可能な状況を作ること、そして、復興に向けての計画を作りやすい環境を生み出すことが行政の役割でしょう。日本人が日本を信じている限り、日本は必ず復興する。災害国家である日本では、災害と復興は幾度と無く繰り返されてきたことなのです。」

渡邊哲也

-----------------
プロフィール

渡邉哲也(わたなべ・てつや)
1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒。貿易・卸の企業に勤務の後、独立。複数の企業運営にも携わる。
仕事上、海外の経済情勢に精通。ネットを通じて発信している内外の政治・経済状況のリサーチと解析には定評がある。リーマンショックを当てた「ドル崩壊!」を監修、「完全にヤバイ!韓国経済」共著(彩図社)欧州危機を予言した「本当はヤバイ!欧州経済」を執筆、「日本はニッポン! 金融グローバリズム以後の世界」共著など金融や経済に関わる著作を行っている。また、政治や経済に関わる様々な著作の企画や監修にもあたっている。
人気経済ブログ「代表戸締役 ◆ jJEom8Ii3E の妄言」を運営。
http://www.watanabetetsuya.info 連絡先はinfo@watanabetetsuya.info



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 11:50|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月30日

スマートフォン「による/のための」まちづくり

iPhoneやAndroid OSを搭載したスマートフォン市場が伸び続けています。
一般層はもとより、中高生の所有率も増加傾向(2010年秋で3%弱)にあるそう。
そんなスマートフォンを渋谷区政に活用したり、渋谷のまちづくりに反映できないか?と考えています。


3/11の震災時、携帯電話各社の回線が大混雑し、電話が繋がらなくなりました。
一方でインターネット回線は無事であり、私もTwitterやFacebook等のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を
通して家族や友人知人の安否を確認することができました。
ユーザーが自分がいる場所の被害や、街の状況を発信することで素早い情報伝達が行われたことも記憶に新しいです。
(その中には不正確な情報やデマもあり、リテラシーが問われる場面もありましたが…)


スマートフォンをはじめとするモバイル機器とインターネットサービスが、情報インフラとして重要な機能を果たした事例だと思います。


インフラをインフラとしてどんな状況下でも機能させる。
例えば、区内にWi-Fi環境を構築したり、電源を取れるスペースを増やしたりといったことが考えられます。
災害時には行政からのアナウンスや、GPSで区内の避難場所を指示したりできれば混乱も抑えられるかもしれません。


既に、平成22年11月議会において、スマートフォンの行政における活用を提言いたしました(→ブログ記事)。それは、機能に注目して障害者福祉や教育などで活用できないか、との問いかけでした。
(「あきちゃんの魔法のポケット」というソフトバンクの作成した事例集を参考にしています)


今後は、電源やwifi等への対応などのまちづくり、AR等を活用した行政サービスの充実において、積極的な提言を進めようと考えています。
よろしければご意見をお寄せ下さい。

http://www.s-kenpo.jp/postmail/index.html

shibuya@s-kenpo.jp

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 12:14|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月28日

リスクのとらえ方 〜放射線の怖さについて寄稿して頂きました〜

東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学特任助教の五十嵐 中 氏に寄稿して頂きました。
「放射能、なんだか分からないけど怖い!」 という方におススメです。


-------------------------------

「正しく」怖がる、放射線

 

◎いま、そこにある危機

「○○(会社名)も認めていたとおり、現状では●●の人体への影響はきわめて深刻な状況である。
東京大学の専門家および国立がん研究センターの統計データによれば、●●を30分?1時間に1回、数分ずつ浴び続けることで、数百種類もの発がん性物質を体内に取り込むことになる。ほとんど全てのがんに「かかりやすく」なる状態が生じ、その可能性は50%上昇。一部のがんについては540%の上昇が見込まれる。

心筋梗塞や呼吸器系疾患にかかる可能性も、100%程度上昇する。
また自身の被曝がなくても、●●を浴びた人の近くにいる場合、やはりがんにかかりやすくなるという。

 すべてを総合すると、30歳の男性で平均余命が2.3年短縮。生涯の医療費も、1人当たり200万円以上増える見込み。
 一部省庁や国連の関連機関もその危険性を重視しており、●●への曝露を防ぐべく、可能な限りの努力を継続中である。だが●●の中毒性もあって効果は不十分で、予断を許さない状況にある。 」


…いかがでしょうか?
一刻も早く東京を離れようと思いましたか?
あるいは、家の窓に目張りをしますか?
もしくは、気分を落ちつかせるために、「とりあえず一服…」と思ったりしましたか?


一服しようと思った方に、残念なお知らせがあります。●●は放射線ではありません。まさに今、あなたが火を付けようと思ったタバコです。○○は、東京電力と同じような巨大企業、JTなのです。

 

◎リスクファクターって?見えないものも、見えるものも…

 放射線は目に見えませんし、危険性があまり伝えられていなかった分、どうしても恐怖心を抱いてしまいます。
 でも、放射線もタバコも排気ガスも、「体に害を与えうる」という意味では、みんな同じものです。

 そしてタバコの場合でも、自分が吸っているのと、自分は吸わないけれども職場の同僚や家族が吸っているのと、たまたま道の向こうを歩いている人が吸っているのとでは、危険性は全く変わってきます。


 放射線も同じことです。福島原発のそばで懸命に作業をされている方と、そこから220km離れた東京にいる方では、危険性は違います。

 ここでは、「東京に住んでいる方にとって」放射能がどの程度危ない、どの程度怖い物かを、身近なタバコと比較して考えてみることにします。


 放射線やタバコなど体に害を与えうるものを、まとめて「リスクファクター(危険因子)」と呼びます。そして各危険因子の怖さや危なさを評価するときには、3つの「どれだけ?」を考える必要があります。

 

◎危なさ・怖さの評価法 「どれだけ」×3
 
 1. 危険因子がないときに、どれだけの可能性で病気にかかるか? 
  タバコを吸わない人や、今回の事故による放射線を全く浴びてない人が、どの程度の可能性で病気にかかるかをさします。

 2. 危険因子に、どれだけの量曝露(ばくろ)されたか?
  「曝露」は、タバコを吸ったり、放射線を浴びたりすることをさします。危険に「曝される(さらされる)」と考えればわかりやすいと思います。
 タバコを1日5本・1年だけ吸ってやめた人と、1日3箱・40年吸い続けている人とでは、病気にかかる可能性はもちろん変化します。放射線も同様に、どのくらいの量浴びたかによって、危険性は変わります。

 3. 曝露されたことによって、病気にかかる可能性がどの程度上昇するか?
  "2"で求めた量さらされたときに、ある病気にかかる可能性が何倍になるかの評価です。病気にかかる仕組み(放射線によってDNAが破壊されるとか、タバコに含まれるタールによって細胞ががん化するとか)を評価するのではなく、病気にかかる可能性がどの程度増えるのかを数字で評価するのです。


 3つまとめてみましたが、今までの報道では、1の部分が欠けていたかもしれません。次に少し脱線して、"1"を抜かして考えるとどうなるかを考えてみましょう。

 

◎「2倍になる」っていうけれど… なぜ、元々の危険性が大事?

 10円玉を投げて、数字の面が出る可能性は50%です。ここでイカサマをして、平等院の側(いわゆる表)が向かい合うように2枚の10円玉を貼り合わせれば、100%数字の面が出ます。50%が100%になるから、確率は「2倍に増える」わけです。

 一方、ジャンボ宝くじを1枚だけ持っているA君と、2枚「も」持っているB君を比べるとどうでしょう。1等2億円が当たる可能性は、B君のほうがA君よりもやはり「2倍に増える」ことになります。でも、2億円が当たる確率はごくわずか。1枚あたりたった1000万分の1ですから、2倍になっても1000万分の2=500万分の1です。1時間に1回抽選があったとしても、大当たりの可能性は570年に1回。何とも気長な話です。

 
 10円玉も宝くじも、「2倍に増える」ことは間違いありません。しかし、「50%が100%」と、「1000万分の1が500万分の1」では、全く意味が違います。だからこそ、1番で述べたような「元々の危険性」を考えることが重要なのです。

 

◎受動喫煙、どれだけ危険なの?

 これを踏まえて、受動喫煙と放射線の危なさを比べてみましょう。


 まず、受動喫煙です。受動喫煙については、国立がん研究センターのデータがあります。
 女性が生涯のうちに肺の腺がんにかかる可能性は、35人に1人です。これが、1番で述べた元々のリスクです。

 そして2番と3番です。「1日1箱以上たばこを吸う夫がいる」場合と、吸わない夫がいる場合を比較すると、たばこを吸う夫がいる方が、肺の腺がんにかかる可能性が2.2倍に増えます。

 「35人に1人」の可能性が2.2倍になりますから、「35人に1人」が「35÷2.2=16人に1人」になるわけです。

 

◎空間の放射線、どれだけ怖いの?

 続いて、東京の放射線です。本来は同じ部位のがんで比較すべきなのですが、放射線によって「かかりやすさ」が最も大きく変動する白血病を例にとります。


 女性が生涯のうちに白血病にかかる可能性は、171人に1人。これは、受動喫煙と同様、がんセンターのデータです。

 そして原爆被爆者の方のデータによりますと、放射線を浴び続けて、累積の量が1000ミリシーベルト(=100万マイクロシーベルト)に達すると、浴びていない人と比較して4.15倍白血病にかかりやすくなります。

 あとは、1000ミリシーベルト浴びるのにかかる時間を考えればよいわけですが、ちょっと困ったことがあります。
 東京の放射線レベルは、地震発生後徐々に低下しています。今日 (3月27日)の新宿区で観測された平均値は、1時間当たり0.114マイクロシーベルト。このレベルですと、1年間維持してもおよそ1ミリシーベルト。胸のCT検査1回分。1000ミリシーベルトに達するまでに、1000年かかってしまいます。


 無理な仮定をおきましょう。3月15日に観測された最大値、1時間あたり0.809マイクロシーベルトが、今後ずっと続くとします。そして、累積の量を半分、500ミリシーベルトにしましょう。

 すると、1年間に浴びる量が0.809×24×365=7086マイクロシーベルト。500ミリシーベルト=50万ミリシーベルトに、50万÷7086=70.6年で達します。

 
 まとめ直しますと、「3月15日に観測された最大レベルの放射線を、屋外で2081年まで浴び続けると、白血病にかかる可能性が『171人に1人』から『171÷(4.15×0.5)=82人に1人』になる」と分かります。先に、寿命が来てしまいそうです。

 

◎水道水の放射線、どれだけ危ないの?

 最近問題になっている、水道水の乳児に対する危険性はどうでしょう。異常値が検出されたのは、「ヨウ素131」という放射性物質です。131は、さまざまある「ヨウ素」のタイプのうちの1つと考えてください。自然界にはほとんど存在しませんので、原発からやってきたことはほぼ間違えありません。

 詳細は少し省略しますが、環境基準値 (1kgあたり100ベクレル) の2倍、1kgあたり200ベクレルのヨウ素131が入った水を飲み続けたときの、甲状腺がんの危険性を考えましょう。


 生まれてきた女の子が、20歳までに甲状腺がんにかかる可能性は、かなり高めに見積もっても2万?2万5000人に1人。
 200ベクレルのヨウ素131が入った水を毎日1リットル飲み続けて、なおかつすべての放射線が甲状腺に蓄積したとしますと、その量は1年で268.3ミリシーベルト。3年8ヶ月飲み続けて、1000ミリシーベルトの蓄積になります。

 チェルノブイリ事故の後の追跡調査研究のデータによれば、この量の放射線を浴びると、甲状腺がんになる可能性は3.15倍になります。


 「たった4年で3倍?」と慌てないでください。まず、この値は異常値がずっと続く、かなり強い仮定をおいています。さらに、最初にお話ししたとおり、倍率だけでなく元々の危険性を考えることが大事です。甲状腺がんにかかる可能性は多くとも20,000人に1人ですから、それが3倍になっても20,000÷3.15=6,300人に1人。受動喫煙の危険性とは、文字通り「桁が違い」ます。


 こちらもまとめ直しますと、「環境基準値の2倍のヨウ素131が入った水を毎日1リットルずつ、3年8ヶ月間飲み続けると、大人になるまでに甲状腺がんにかかる可能性が『20,000人に1人』から『20,000÷3.15=6,300人に1人』になる」となりました。
 


◎おわりに

 受動喫煙「夫が毎日タバコを1箱吸っていると、肺の腺がんにかかる可能性が『35人に1人』から『16人に1人』に上昇」

 空中の放射線「3月15日の都内最高レベルの放射線を70年間屋外で浴び続けると、白血病にかかる可能性が『171人に1人』から『82人に1人』に上昇」

 水道水の放射線「環境基準値の倍量汚染された水を1リットルずつ3年8ヶ月飲むと、大人になるまでに甲状腺がんにかかる可能性が『20,000人に1人』から『6,300人に1人』に上昇」


 …絶対安心だとは言えません。でも、必要以上に怖がる前に、もう一度深呼吸してみましょう。「遠くの親戚より、近くの他人」。遠くの放射線より、近くのタバコ。もし身近にタバコを吸う方がいらしたら、ドラッグストアに水やトイレットペーパーを買いに行くついでに、ニコチンパッチやニコチンガムを買ってみてはいかがでしょうか?


 改めて、原発の近くで危険な作業に従事している方に感謝しつつ、この稿を終えたいと思います。


-------------------------------
東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学特任助教
一般社団法人 医療経済評価総合研究所 代表

五十嵐 中(いがらしあたる)

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 12:38|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月25日

ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチン予防接種再開の見込み

ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチンについては、同時接種後の死亡例があったことから接種見合わせとなっておりました。
3月8日に開かれた厚生労働省の会議では、直接的な因果関係は認められないとされていましたが、接種再開までには至らず、本日再び会議がもたれたところです。


その結果、「小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種と死亡例との間に、直接的な明確な死亡との因果関係は認められない」ということが発表されました。


会議において、事務局からは4月1日から再開できるようにしたい、との発言もあったようです。


以上、ご報告まで。

 

厚生労働省
「小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性の評価結果について」
http://bit.ly/eQkwkb

「ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチン接種再開についての会議」ツイッターによる実況中継のまとめ
http://togetter.com/li/115570



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 02:04|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月23日

都知事選挙は困りますね。

都知事選挙は困りますね。
あまりにも情報がない、ない、ない…
こんな状態で選べるのか、と思ってしまいます。


多少は都政のことを気にしている私でもその程度なのですから、
皆さんの戸惑いはいかばかりか。


◎石原さん
石原慎太郎さんは舌禍事件が凄い感じがするけれども、
青山さんや猪瀬さんの著作を読む限り、直観力は素晴らしいのかもしれない。
さすがに都政を12年も切りまわしてきただけのことはある…

民主党との関係が悪いようにも思うけれども、
例えば、伊藤都議が本会議で厳しい指摘をしたときに、アドリブで
「改める」
だったかな? 答弁したことがありました。
その時にはさすがの懐の深さだなぁ、と感心したものです。

とはいえ、最近は鋭さが失われている感があります。
民主党のフィルターがかかっているからそう思うのかな?
ちょっとわからないところですなぁ。

◎渡辺さん
ワタミさんは、インタビューなんかを見た感じでは、政治的なセンスはあんまりないなぁ、と思ってしまう。
去年の末にテレビタックルで商店街の方に「あなたのところは商店街に入ってないだろ!」と詰め寄られた話は、各商店街の新年会で結構話題でありました。
こういうときの切り返しって大切なんですよね…

経営者で立派な政治家も結構いるけど、経営者でダメな政治家も結構いるものです。
どうなんでしょうか。正直、未知数。



◎東国原さん
東国原さんは、私の中ではありえない。
大義が全く感じられない。
なぜ都知事に出るのかが、彼の人生の筋道から全く見えてこない。

私は何度か「政治家は原点が大切」と言っています。
なぜ政治を志したか。
なぜ今の立ち位置、今の主張なのか。
この二つにピッとした背骨が走っていなければ、政治家として大成はしないと思います。ブレる。

「宮崎をどげんかせんといかん!」
の気持ちは本物だったと思います。
知事時代は(政治的力量は県政わからないから言及できないけど)八面六臂の大活躍ではありました。

が、なぜ東京に?
私には皆目理解ができないです。
「どげんかせんといかん!」を超える情熱を都政に対して発揮できる、その裏付けとなるストーリーが全く感じられない。
だから、私は東国原さんはあり得ないです。現状は。


◎小池さん
最後に小池さん。
真面目で筋は通っている、才気も持っていると思います。
でも、革新都政は今の厳しい財政状況ではどうかなぁ…

小池さんが現実路線に変わるのであれば、
保守か中道に転向するのであれば、
応援してしまうのかもしれない。

まぁ、当面はあり得ないか…



ということで、どの候補者もがんばって欲しいと思います。
イメージだけで戦わないで、志と政策で競ってくださいませ。


駄文長文、失礼しました。



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 22:21|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月20日

震災直後の統一地方選挙。渋谷区でも選挙カー(街宣カー)の見直しが…?

都議会民主党が18日に統一地方選挙の執行延期について申し入れをしたそうです。

------------------------------
 東京都知事選挙など都内における統一地方選挙の執行延期について

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東北地方を中心に北海道から関東地方にかけての広範囲で地震動そして大きな津波を起こし、特に東北地方の太平洋沿岸を中心に未曾有の被害をもたらしました。この影響を受け、原子力・火力発電所など多くの発電・流通設備が停止し、東京都内の電力供給も大変厳しい状況が続いています。

  15日には東京の多摩地域において「計画停電」が実施され、翌16日には特別区の荒川、足立、板橋、練馬の4区も「計画停電」の範囲となるなど、一般家庭や企業、公共施設、病院、信号機など全てに電力供給が止まりました。今後も都内を含めた広範な地域で停電などの事態が続くと予測されます。

  そして、福島第一原子力発電所における原子炉事故も、大変憂慮される事態となっています。

  また、都内には地震による被災者や原子力発電所事故による避難者が続々と到着しており、都や区市町村においても万全な受入れ態勢を取るべく、現在懸命な取り組みを続けています。

  こうした緊急事態を鑑みて、3月24日に告示予定の東京都知事選挙を始めとする都内における統一地方選挙を延期すべきと考え、地方選延期の特例法を管轄する総務大臣に対して、選挙延期の意見を提出されるよう求めるものです。
-------------------------------

全く仰るとおりだと思います。
今回の震災は日本全国を巻き込んだ大規模なものです。被災者の受け入れも、九州や沖縄なども含めて検討が進められています。電気や燃料などの不足もさることながら、オールジャパンで震災復興に資源をつぎ込まなくてはならない時期です。
なので、私は選挙は延期したほうがいいと思っています。

国会では既に、かなり狭く解した被災地のみを対象にした延期法案が成立し、東京ではおそらくスケジュール通りに執行されるのでしょう。
残念なことです。


今回の選挙を迎えるにあたって、やはり様々な「不足」が気になります。電気も4月いっぱいまでは計画停電が続くようです。ガソリンについては、現在の品薄は緩和されるでしょうが一部被災地にガソリン供給の拠点があるようで、その影響はでてくることでしょう。さらに、職員や議員は被災地の支援と今後の震災対策の練り直しでなかなか選挙にエネルギーを費やすことができないと思います。

#少なくとも、私は選挙より現下の情勢改善のために力を尽くしたいと思っています。


そう考えると、選挙そのものが「省エネ選挙」を強いられるのかもしれません。
いや、どちらかというとイノベーションですね。陳腐化した、エネルギーを使うような手立てをできるだけさけ、効率的な手法が要請されるようになるでしょう。

陳腐化しつつある手法のうちの一つは選挙カー(街宣カー)です。
以前から選挙カーについては「うるさい」「聞こえない」「渋滞の原因」等のご意見が根強くありました。
その一方、選挙をする地域によっては選挙カーが必要な場合もあること、また、有権者の中には「選挙カーに手を振るのが楽しみ」というかたもいらっしゃるようでもありました。

とはいえ、同時期に集中的に選挙カーを展開し選挙を行う統一地方選挙のようなスタイルは、現下の情勢では許容されにくいのかもしれません。
前回の統一選もそうですが、今回は多くの候補者が「選挙カーを使わない」という選択をするのでしょう。

それは、それで、望ましい方向とも思われます。


渋谷区議会民主党では、ノー選挙カーというよりは、選挙カーの公費負担を適正化することが急務と考え、今般条例案を提案したところです。

もちろん、公営選挙というのは民主主義の公正と公平を担保するものとして非常に重要だと思います。それを損ねない範囲内で、適正化を図ろうとするものです。

今回の大震災を契機として、もしかしたら時代はその先、ノー選挙カーが一般的な選挙の時代に進んでいくのかもしれませんね…
渋谷ではどうなるのでしょうか?



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 16:55|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月18日

経済をつぶさないためにも、少しでも支出を増やすことに決めました。

震災から1週間が経ちました。
被災者とそのご家族の方々には改めてお見舞いを申し上げるとともに、救援等に従事していらっしゃる皆様方には心から敬意を表します。


さて、節電による公共交通の乱れなどもあり、本当に渋谷は人が少ない状態です!
経済が動いていないのを肌で感じます。
スーパーなどでは物流および買いだめの影響から物資が全くありませんが、飲食店や物販ではお客が激減しており、厳しい状況だそうです。
渋谷だけの現象ではありません。
その証拠に、築地市場などでもモノが余っているそうです。


このままでは、日本の経済そのものが縮小しかねません。
節電もあって本当に大変ですが、渋谷のような街が活気を取り戻していくことが日本にとっても重要なことだと思います。



こういう考えから、私は当面できるだけお金を使うことに決めました。
もちろん、浪費をしようというのではありません。節電という制約もありますから、可能な範囲で適正な支出をしていこうと思っています。

具体的には、プライベートでは外食を増やしていこうと思っています。
家から近いところに限られますが、飲食店などで積極的に消費をしようと思います。

また、政治活動では、中断していたポスティングを再開したり、印刷物を前倒し・増量して発注したりするなど、お金を使うような活動を進めることにします。
時間は防災と予算を中心に議会活動に費やすことにします。

そんな感じです〜。

このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 13:57|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月13日

東北地方太平洋沖地震について、自分の行動を考えてみる

一体議員はなにをやるべきだったのか?
ちょっとまとまっていませんが、記しておきます。


3月11日の地震の直後。
私は家を確認してから、周りの気になる方の片づけお手伝いをやって、その他は帰宅困難者対応している施設の情報を短時間だけツイッターで流していました。
私のフォロワーさんには渋谷にかかわる人が多いはずなので、その方々が一番欲しているのは帰宅困難者向けの情報だろう、と思ったからです。


#私は、「帰宅困難者を守ることは、渋谷区民を守ることにつながる」と思っています。
その考えに従って提言も続けてきたし、今回も行動しました。


一方で、渋谷区行政にはできるだけ負荷をかけないようにと心がけました。
渋谷区も混乱しています。各議員がそれぞれ情報収集したりすれば、それだけ混乱は深まります。職員さんの手も煩わすことになります。
被害が多いなら別ですし、職員さんたちと連携して動くような局面もあるのでしょうが、直撃しているわけでもないので行政に負荷をかけることは避けなければならないだろう、と考えました。

 

さて、帰宅困難者対応施設情報ですが、やってみると非常に難しい。
まず、情報の真偽確認が難しい。ある時期に帰宅困難者対応をやっていても、時間がたって対応を終了する施設もある。人数が限界に来てしまうしせつもある。これをリアルタイムに把握し、正確に対応するのは難しいです。
さらに、情報のフォーマットが統一していないので、どんな対応ができるのかがわからない。お茶をふるまって休めるスペースなのか、電源などを開放しているのか、宿泊などもできるのか、そのあたりが全くわからない。規模もわからない。なかなか難しいです。
大学などの大規模施設の開放だけではなく、民間企業がオフィスなどを開放していたり、飲食店が休憩スペースを運営していたりするわけですが、これらを丁寧に把握するのはほぼ不可能でした。


さらにいえば、今回の場合被害が深刻なのはあくまで東北地方であり、渋谷は帰宅困難者が多いとはいえ被害甚大というわけではない。
ということで、一定の区切りを付けた後は本当に必要なこと以外は情報提供すらも避け、重要な情報が伝達されるのを妨げないようにと考えて行動しています。
状況を調査したい、知りえた情報をどんどん提供したい、とは思いますが、
一番大事なのは、緊急に助けを求めている方にとってなにがプラスか、ということなのではないでしょうか。
渋谷の動向・情報なんて、今回のケースではある一定以上は社会にとってノイズとなってしまうように思います。

 

議員はどうしても前に出なきゃいけない、何かしなきゃいけない、という思いに駆られてしまうのですが、
今回、本当に大事なことは何か、を考えると軽々に動けなかったです。
うーん。

 

色々考えなきゃならないですね…
今も、基本的には節電を重視し、身の回りの整理をしながら静かに過ごしています。
そんな感じ。

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 00:34|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月05日

小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告について、冷静な対応を!

先日渋谷区内で無料化された小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンについて、同時接種後の死亡報告が複数あり、接種の一時的見合わせが決定されました。

小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告と接種の一時的見合わせについて(厚生労働省)


この死亡報告は3月2日〜4日に立て続けに行われたものであり、3月5日には見合わせと公表が迅速に行われたことを評価するものです。
8日には緊急に検討会が開かれるということです。


一番怖いのは、対応が後手になること、正しい情報が伝達されないことです。
このブログをご覧になった方は、ぜひ冷静に行動していただきたいと思います。


なお、2月28日に行われた検討会では、両ワクチンについて「発売以来それぞれ100万人から150万人程度の子供に接種されたと推定されており、特に著しい問題は生じていない」ということが確認されています。
それなのに4件たて続けに死亡報告が起こるなんて…とは思いますが、

必要以上にリスクを恐れることも、大丈夫と強弁することも良くありません。社会的にはマイナスです。

まずは因果関係の解明(ワクチンに由来する可能性が高いものなのか、それとも他の要因に由来する可能性が高いものなのか等)が速やかに行われることを期待しつつ、見守ることにしましょう。



ただし、ワクチンの副反応報告は結構難しく、「紛れ込み」という、ワクチンと関係ない他の原因による被害がかなり多いことが知られています。
これはなかなか断定できないようです。なので、上では「可能性」と書かせていただきました。


厚労省のサイトでは、症例(基礎疾患の有無など)とQ&Aが公表されています。
ぜひご覧ください。
繰り返しますが、冷静に対応していただけることをお願いします。








このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 15:42|PermalinkTrackBack(0)

2011年03月04日

渋谷区議会民主党:区政改革プラン(鈴木けんぽう版)

渋谷区議会民主党で区政改革プラン(政策方針)を取りまとめました。
会派では大枠を決めたうえで、各人が編集して自分の版を作ることができるようにしました。


今回は、幹事長=とりまとめ役としての立場を離れて、鈴木けんぽう版を報告いたします。


-----------------------------------
渋谷区議会民主党 区政改革プラン(政策方針)
鈴木けんぽう版


 
◎区民の健康維持に全力で取り組みます。
・「社会全体で健康を守る」観点から予防接種の啓発・助成を充実し、受けやすくなるように取り組みます。
・受けやすい健診に変え、効果を上げます。
健康が一番大切。
予防重視で区民の健康をみんなで守っていく取り組みを進めます。
特に予防接種については、国政・都政も動かして、予防できる病気は確実に予防する体制を目指します!


◎コミュニティースクールの実現と地域の特色ある教育を進めます!
・地域に根差した公立学校を目指し、地域の特性、地域人材を活用した教育を進めます。
・学習効果の高い最新の教育導入に努めます。
創造力を培うには、多様性が必要です。多様な大人が入りこみ、こどもをサポートする教育が「コミュニティスクール」です。


◎区議会のインターネット放送の実施!開かれた議会をめざします!
・議会基本条例を制定し、議会の政策立案機能の強化、情報公開・広報を充実します。
・費用弁償(交通費:1日5千円)の廃止、紙資料の削減など、議会にかかる経費適正化に努めます。
区議会改革は全会派一致が原則なので簡単には進みませんが、改革の声を上げていきます!
 
 
この他にも、渋谷区議会民主党は引き続き改革に努めていきます。
 

◎情報公開と監査の強化で区政の「見える化」を!
◎保育所待機児ゼロをめざします!
◎学校給食の無償化と公会計実施で子育て世代の負担軽減を進めます!
◎ネーミングライツ制度は見直し手続きを条例化します!
◎「モノ」と「心」のバリアフリーを進めます!
◎公契約条例の制定で官製ワーキングプアの防止を!
◎リサイクル率をあげるためにごみの分別や出しやすさを改善します!
◎地域のボランティアの力で介護予防を進めます!
◎議員年金の廃止! 区長など特別職退職金は見直しを!

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 08:30|PermalinkTrackBack(0)

2011年02月27日

対談「地方議員の新しい姿 〜国会議員と地方自治体議員が連携する政策立案〜」

鈴木寛文部科学副大臣と対談を行いました。文部科学行政から始まり、「熟議」の民主主義、地方議員の新しい姿など、多様なテーマについて意見交換を行いました。今回はその模様をお伝えします。



けんぽう:今日は、主に政権交代後の政策を振り返り、国と地方自治体で連携してどのような成果を上げられるのか、文部科学副大臣の鈴木寛参議院議員にお話を伺いたいと思います。


○文部科学行政は大きく進展
けんぽう:政権交代後、一番大きな出来事はなんでしょう。

鈴木寛:やはり、政策を形にできていることです。文部科学行政で言えばニート対策を主眼とした高校の無償化などの個別政策だけでなく、「コンクリートから人へ」というスローガンを現実にする大幅な予算の組み換えを行うことができたことなどがあげられると思います。

suzukan2


けんぽう:国土交通省の予算よりも文部科学省の予算のほうが大きくなったと伺いました。歴史的な成果だと思います。


○「熟議」の民主主義
けんぽう:そして、文部科学省の政策形成過程の変化。単なる官僚たたきではなく、政治主導の確立、そして「熟議」の導入に成功しています。これは、他省庁に比べて一歩も二歩も文部科学省が進んでいるようですね。

鈴木寛:やはり、国民の代表として選ばれたのが政治家である一方、官僚の皆さんに対し、勝手な意見を押しつけることはプロの仕事ではないと思います。そのようなことに気をつけながら、慎重に改革を進めているところです。

けんぽう:すずかんさんの提唱する「熟議」の民主主義については、日本の政策決定システムを大きく変更するものだと感じています。誰でも参加できるのですから!

鈴木寛:文部科学省に「熟議カケアイ」という仕組みを導入して熟議の民主主義を実践しています。一般の教師・保護者・教育研究家・自治体職員などにウェブ上に集まっていただき、激論をしていただいています。そのなかで練り上げた政策を文部科学省にご提言いただいています。
このシステムのモデルは、民主党東京都連でけんぽうさんたちと実施した「東京ライフ」でした。

けんぽう:2009年の都議会議員選挙・衆議院議員選挙を前に、一般の人にも加わっていただいて政策議論をし、そのなかからマニフェストを練り上げていこうという試みですね。あの「マニフェスト大賞」(※)でベストホームページ賞をいただき、「政党マニフェストと地域主権を結ぶ企てが意欲的で素晴らしい」との評価をいただきました。

鈴木寛:まさに時代は熟議の民主主義を欲しています。官僚だけ、政治家だけが政策を立案するのではなく、誰もが政策形成過程に関与できる体制を作り、国民の英知を集めて行くべきです。


○地方議員の新しい姿
けんぽう:文部科学行政からは離れますが、私が政権交代を強烈に意識したのは昨年秋に成立した国の補正予算に、ヒブワクチンを含む新しいワクチン助成が盛り込まれたことです。

kenpo2



鈴木寛:けんぽうさんからは、マニフェスト作成の際にご提言をいただきました。

けんぽう:2009年初頭の民主党東京都連の会議で、当時発売された直後のヒブワクチンについての重要性を提言させていただきました。

鈴木寛:いち早く着目されていましたね。当時私はマニフェスト作成の担当をやっておりました。けんぽうさんのご意見は、「政策集」の中にヒブワクチンの定期接種化についての項目がはいるきっかけの一つだったと思います。

けんぽう:国の補正予算でヒブ・小児肺炎球菌・子宮頸がんワクチンの助成が決まった時には本当に感無量でした。自分の提言が国を変えることもあるんだなぁと・・・

鈴木寛:これからの時代の地方議員は、住民に一番近い存在として政党に政策提言するような、地域政策のプロフェッショナルになるべきです。けんぽうさんは「ワクチンの費用対効果」や「学校給食公会計化」など、色々な政策レポートを作成してくださいました。また、予防接種と子育て支援政策について都内有志議員の合同アンケートなども企画され、国政や都政の政策立案にも深くかかわっていただいています。
「住民の意見を幅広くとらえ、政策提言に活かしていく」ことが、これからの地方議員のあるべき姿だと思います。


○民主党政権に対する批判
けんぽう:ところで、政権に対する批判は厳しいですね。期待が大きかったからこそ批判も強い。私たちもその批判にさらされていますが、内側からの党改革を進めなければならないな、と行動しています。

鈴木寛:けんぽうさんがリーダーを務められている渋谷区議会民主党では、岡田幹事長に対し党改革の要望書を提出されたと伺いました。真摯に国民の皆様のご批判に向き合い、率直に対応させていただくことの大切さは、政権交代前も政権交代後も変わりないことだと思っています。



けんぽう:きょうはありがとうございました。文部科学省からの改革、よろしくお願いします。

鈴木寛:ありがとうございました。引き続き、けんぽうさんが、「より良い日本の未来のための政策立案」をされ続けられることに期待しています。


(※)第4回マニフェスト大賞



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 16:37|PermalinkTrackBack(0)

2011年02月08日

河村市長の選挙で感じたことたこと、反省したこと

遅まきながら、愛知の選挙結果について。
いろいろな方がいろいろなブログでご意見を表明していますが、私も感じたこと(あくまで感じたことです)、そして反省したことを書いてみたいと思います。


○現場の皆さんの思いは…
名古屋の市民とみられる方を中心に、当事者の皆さんのブログをいくつか見てみました。
懸念を表明するものもありますが、期待感がすごいですね。

実際に改革への取り組みが始まっていること、ボトルネックが議会であること、をはっきりと書いていらっしゃる方もいて、そう見ているのか、と。
確かに、減税も取り組んだ、給料も減らした、自治区も始めた、見える化も取り組んでいる、街に出て説明する…
もちろん見せ方もあるのでしょうが、いろいろな取り組みを目の当たりにして、市民の皆様にとっては、「変わりつつある」という肌感覚があるのだなぁ、と感じます。

さらに、河村市長のマニフェストについて、ワクワク感をもって語っているブログもいくつか見つかりました。
争点(と我々が思っている)の「減税」「市議会」以外にも、マニフェストに掲げられたいろいろな論点が語られていました。
これは正直珍しい。ふつうは国会議員選挙でさえも、専門家以外が中核の政策以外を検討するというのはそんなに見ないですよね。

マニフェストがイメージしやすい・感情に訴えかけやすいということもありますが、直感的には、地域委員会を通じて「自分で考えよう」という気風が育っているのかな、と感じました。

 

○「俺が本当の民主党だ」

河村市長は、「俺が本当の民主党だ」と行っていたといいます。
元総務大臣の原口代議士からご紹介いただきました。

実際、民主党支持層のかなりの部分が河村市長を支持したそうです。
時事通信による出口調査のデータによると民主党支持層の76%が河村たかし氏に投票したと回答しています。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011020600197

これだけで全てを判断するのは早計ですが、しかし、民主党支持なさっている方の大半が河村市長の姿勢を評価しているわけですね。
「俺が本来の民主党だ」という言葉は伊達ではありません。民主党に求められ、民主党が失いつつあるものを、河村市長が持ち続けていた。これが評価されているという風に感じます。


なお、この数字は無党派層の数字とほぼ同じ(支持政党なしの方のうち75%が投票)です。ますます示唆的ですね。

 

○感じたこと、気づいたこと

河村市長の「俺が本当の民主党だ」発言はソースが見当たらないので本心はわかりません。
ですから、そこから何を感じ取ったか、ということを以下書きたいと思います。


・国民(庶民)が主役
一つには、「民主」=「国民(住民)が主役」というお題目と実態の違い。
マニフェストは詐欺フェストと揶揄され、謝罪や説明がないと言われていること。
確かに私も感じます。「国民の約束」と銘打ちながら、きちんとした説明もなく迷走していることは否定できないし、あまつさえ「マニフェストで選ばれていない」「マニフェストは一部の人が決めたこと」と取られかねないような発言が飛び交っている。

本当に「国民が第一」と思っているのか? 「国民との約束」を大切にしているのか?
ありていにいえば、不信感がまん延していると思います。

河村市長は繰り返し「庶民革命」を標榜し、庶民の目線を強調してきました。彼の政策は、その評価は別として、「庶民が主役」という縦糸をもとにしているのは間違いありません。
民主党は、もっと国民に向き合わなくてはならない。政権を取って浮ついて、この原点を忘れてしまったのかもしれません。

 

・しゃにむに実現に向けて進む
もう一つは、実現に向けてもがいているかどうか。
今回の選挙戦で提示されたのは、恒久10%減税を市議会が反対している、だから市議会を変えたい、という訴え。
議員の立場からすると物凄く乱暴な言動に思いますが、先ほど書いたように、

「議会がボトルネックなのだ」

という認識なのだったら、政策実現のために議会のリコールというのは手段としては(禁じ手だと思うものの)取りうると思います。
政策実現のために禁じ手を使うのは賛同できませんが、「何としてでも政策を、住民との約束を実現する」という観点からは、物凄い剛腕ですよね。

この、しゃにむに政策実現に突き進む、そんなエネルギーを市民は支持したのかもしれません。

 

・反省と決意
ひるがえって私はどうだったかな…と考えると、反省しきりです。

地域の民主党として、4年前に掲げた政策については事あるごとにビラ等で掲載し、進捗状況を報告し、実現できなかったものについては理由と代替案を提示して参りました。
また、アンケートやインターネット(ツイッターなど)を通じて住民の声を集め、実現するように取り組んできたつもりですが、これはあくまで「つもり」に過ぎません。

本当に有権者から評価されるよう、「住民が主役」を徹底していきたいと決意を新たにしたところです。


また、「しゃにむに政策実現に突き進む」というところは、特に弱いかなと思います。
政策実現していないわけではありません。例えば予防接種行政などは、自分が取り上げなければ任意予防接種の助成についてここまで進まなかったと思います。
いろんな政策を提言し、また、実現してきた、という自負はあります。

とはいえ、物分かりがよくなってしまったのかな、とも感じています。
行政側の事情、財政状況、法や今までの経緯をよく知るようになって、現実的な提案ができるようになったし、住民の皆さんの思いをうまく翻訳して行政に伝えられるようになったと思います。
でも、しゃにむに突き進む、という感覚はいつのまにか薄れてしまったのかもしれません。

区民から言われたことでも、「それは大切だけど、でも、行政側もこういう論理で考えてるんだよな」とか、「行政側ははっきり言えないけど、こういう問題があって難しいんだよな」と考えてしまうようになってしまいました。

理屈がわかるようになっただけに、ブレーキをかけることが多くなっていたようです。


でも、それじゃいけないんですよね。私は住民の代理人であって、行政の代理人ではない。
行政の論理や事情を知りつつも、それをブレーキにするのではなくて、ボトルネックを探り当てるレーダーにしていかなくてはならない。そして、何とかして変えていかなくてはならない。

改めて自分の足りないところに思い至りました。
物分かりがよくなりすぎているんです。

 

幸いなことに、ポリオの不活化ワクチン啓発の提案のように、法で定められていて自治体では接種自体は不可能なようなものについても、「これならばできるだろう」という方策を自分なりに探して提案を続けてきました。
こういうところを大切にしていけばいいのかな。

 

○まとめ
…長文になりましたね。まとめます。

今回の選挙で感じたのは、もっと住民に向き合わなきゃならないということ、そしてもっとしゃにむに政策実現に突き進まなければならない、ということ。

私は住民の代理人です。行政の代理人ではない。
行政の事情は理解しつつ、何とかして住民の思いを実現しなければならないし、住民に納得してもらえる行政に変えなければならないのだと、改めて痛感します。

任期も残り少ないですが、今回の気づきを大切に、議会で完全燃焼してきます!



p.s.
何をあたりまえなことを…とお叱りをいただいてしまうかもしれませんね。
自分を叱咤する意味で書きました。引き続きのご指導をよろしくお願いします。



フェイスブックでご意見を募集しておりますのでよろしくお願いします。
現在募集している案件は、「愛知の選挙をどうみるか」です。
→ http://www.facebook.com/s.kenpo.shibuya


また、ツイッターを活用して皆さんのご意見を伺っています。
具体例はこちら
→http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51862936.html
今後も多くのご意見をお寄せ下さいますようお願いを申しあげます。
→ http://twitter.com/kenpo_shibuya/
 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 15:54|PermalinkTrackBack(0)

2011年02月05日

はるのおがわプレーパーク

最近こどもがどうもイライラしている感じです。親が今あまりかまってあげられないので。
ということで、今日は少し時間をとって、はるのおがわプレーパークへ行きました。

 

行くたびに様相が異なるのもはるプレの面白さなのですが、今日も案の定、雰囲気が違っていました。公園のど真ん中に大きな穴が掘ってあったのです(聞くと、「ブラジルまで行こうとみんなで掘った穴」だそうです。ほほえましいですね)。

なかなか深い穴で、大人の腰より深いくらい。直径1メートルくらいのなかなか見事な穴がぽっかりと口をあけていました。

 

うちの子は最初は怖がって周りをうろちょろするだけだったのですが、幼稚園年中さんのグループが来てその穴で遊び始めてから、一緒に遊びたくて穴の中に自分から飛び込むようになりました。

遊びのためなら本当に何でもやっちゃいますね…

2つ上のお兄さんお姉さんと一緒に、飛び込んだりよじ登ったり。
影響されてすぐできるようになってしまいました。

 

さて、遊びの世界では、「さんま」といって「時間・空間・仲間」が欠くべからざる条件のようです。

残念ながら今の渋谷の子たちは、さんまが十分とは言えません。保育園(幼稚園)+お稽古事で時間がなくなっているこどもが多いですし、区内に公園は大小取り混ぜて比較的多いとはいえ自然あふれる状態とはとても言えませんし、何よりこどもが少ないです。

こういう状態を打破できるのは、はるのおがわプレーパークのような、自由に遊びをできる緩やかな空間です。はるぷれにプレーリーダーという大人もいますから、たまたまお友達がいなくても問題なし。楽しく遊べます。

うちの子は2歳児の割には体力も社交性もあると思いますが(親ばか!)、それは本当に小さいころからちょくちょくはるプレに通っていたからだと思っています。
大事に育てつつ、他の地域にも作っていきたいなぁ…



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 00:58|PermalinkTrackBack(0)

2011年01月31日

ツイッターが渋谷区議会議員にどのように活用されているか・鈴木けんぽうの場合

タイトル、ずいぶん大きく出てしまった気もしますが…(笑)
ツイッターがきっかけになった・ツイッターを参考にした私の提案案件について、結構たまってきたので記載しておきます。
うまくいったこともうまくいかなかったこともごっちゃにしています。

思い出せるだけ書き出しましたので、わかりにくいところや漏れがあると思います。ご容赦ください。

 

【本会議(自分・会派を区別せず)で取り上げたもの】
・食育および調理体験、NHK教育「あい・まい・まいん」を参考に
・『学び合い』
・学校広報/学校情報提供
・電子図書館
・宮下公園整備におけるホームレス対策/集会機能
・不活化ポリオ啓発
・病児保育等でのNPOとの連携
・iPhone(スマートフォン)最適化の街づくり
・合同学校説明会ネット中継
・保育園の入園手続き適正化
・図書館における地域資料(灰色文献)の収集・オンラインデータベースの活用
・社会教育館の団体登録適正化
・プレーパーク(冒険遊び場)の充実

 

【委員会等で取り上げたもの】
・インフルエンザの治癒証明
・山手通り東大裏交差点の右折・直進等の整理
・代々木葬斎場裏道路の通行禁止啓発看板
・アドカー規制
・渋谷警察前自転車横断場所の適正化
・学校ICT
・区のプレミアム商品券

 

【その他(直接所管課に伝える、国会議員・都議会議員等に伝える、勉強会を開催したなど)】
・各地自転車・二輪車放置対策
・各地道路整備(穴があいている、など)
・携帯電話等のリテラシー教育
・JAXAこうのとり2号打ち上げパブリックビューイング
・各地公園の適正化
・図書館見学会
・『学び合い』勉強会
・メディアリテラシー勉強会
・学校広報勉強会
・保育勉強会
・インターン生の採用
・予防接種アンケートの実施
・東京都立病院の超過勤務
・非実在青少年の問題点
・不妊治療の支援
・学校給食の公会計化についての条例作成・提案
・ネーミングライツについての条例作成・提案

 

こうみると、たった1年半でかなり多くのご提言・ヒント等をいただき、区等にぶつけてきたなぁ、ツイッターは私にとって発想の源泉になっているなぁと強く感じます。
皆さまのご協力に感謝します。

今後も多くのご意見をお寄せ下さいますようお願いを申しあげます。
→ http://twitter.com/kenpo_shibuya/

 


フェイスブックでもご意見を募集しておりますのでよろしくお願いします。
現在募集している案件は、「渋谷のイメージ(対横浜、品川、新宿、池袋)」です。
→ http://www.facebook.com/s.kenpo.shibuya

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 15:33|PermalinkTrackBack(0)

2011年01月06日

学校の掃除を学生がやるべきか?

ツイッター上でかなり広範な議論となっているのが「学校の掃除を学生がやるべきか?」です。
下の記事が適度にわかりやすくてお勧めです。


「学校掃除あんまり要らない気がする」 中学生のツイートに賛否両論
http://www.j-cast.com/2011/01/05084901.html?p=1


かなり多様な意見が出ていて面白いです。
ここで、教育行政につきつけられているのは、合理性です。
学校の掃除はなぜ必要なのか、なにが目的なのか、なぜこのような手段をとるのか。
これを明確にすることが求められているんだと思います。

この問いに対し、思考停止の紋切り型の回答をしてはならない。
なぜ掃除をやるのか。
なぜ生徒もやるのか。
なぜ「ほうき・ちりとり・ぞうきん」なのか。
・・・等々、明確に説明したいものです。それができなければ生徒は納得できません。不満を持ちます。


昔から何の疑問もなく続けられてきたこと。これが社会にとって害悪になっているケースは多いです。
「制度は不断に合理性を検証されなくてはならない」
と私は思います。
特に、学校は教師―生徒の縦関係がありますので、検証がなされない可能性も否定できません。
学生側の疑問に真摯に向き合うこと、そしてそれによって不断に制度を検証していくこと。
これが重要だと私は考えます。


p.s.
私はこの件、費用の制約なども勘案すると学生がほうき・ちりとり・ぞうきんで掃除することは許容されるかなとは思いますが、制度を検証することの重要性を感じたので記事にしました。




このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 01:00|PermalinkTrackBack(0)

2011年01月04日

新年の抱負〜新たな地方議員像を目指して〜

あけましておめでとうございます。
今年も頑張ります。

今年は4月に選挙がありますが、選挙にあまり時間とエネルギーをかけないで、実質的な政策研究・政策議論に力を注ごうと思っています。
そして、新たな議員像を模索したいと思います。
いわば、地方議員2.0とでも言うべきもの。ダサいネーミングですが・・・


地方議員2.0のスタイルは、以下の5点に集約されると思っています。


・功名心を持たない:政策を実現するのが議員の本分。実現するなら直接自分が提案しなくてもいい。他の政党や他の議員が提案して実現しても、あるいは他の自治体で先行して実現し、巡り巡って渋谷で遅れて実現してもいい。自分だけで調査→問題発見→解決策提示→実現までやる必要はない。


・立場に縛られない:あくまで区民に雇われている立場。所属政党や支持団体に縛られず、区民の立場に立った行動をする。一部議会で横行している「出所主義(特定の政党・団体の提案は無条件で賛成、反対する、提案元の党派性のみで判断する態度)」は否定する。会派によるいわゆる「党議拘束」は極力排していく。


・否定をしない:他党/他議員の意見を否定しない。現実を踏まえている限り、そこには必ず一部の理がある。自分には見えていない真実がある。否定せず、衆知を集めるように取り組むことこそが、成熟した議論を生む源泉となる。対立は単なるブレーキ、乗り越えなくては意味がない。…もっといえば、自分の議会を超えて、自分の所属党派を超えて協力できる体制を作る。


・生活を極める:金を稼ぐ(議員活動以外で)。金を貰わない。行政サービスを使い倒す。家族を大切にする。仲間と遊ぶ。…変に忙しくするのではなく、区民と同じ生活を極める。その中から政策課題を発見する。


・正直でいる:シンプルに、正直でいること。これはもっとも難しいけど・・・


以上、2011年の抱負として。
自分ができているとは限りません。あくまで目指すべき議員像を考えたもの、とご理解ください。考え方は今後さらに練って行きます。



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 00:49|PermalinkTrackBack(0)

2010年12月28日

渋谷区教委の対応に疑問! 給食費情報非公開

渋谷区教育委員会のとんでもないニュースが飛び込んできました・・・


渋谷区教委:ブログの「中傷」恐れ、給食費情報非公開

東京都渋谷区教育委員会が、市民団体メンバーの情報公開請求に対し「文書を開示した場合、ブログやメディアで『中傷』される恐れがある」として非公開の決定をしていたことが分かった。専門家からは「誰にでも平等に情報を公開するという制度の趣旨に反している」との指摘が出ている。(毎日新聞)


中学校で、給食費に不適切な取り扱い(年度初めは粗食=安くてカロリーが大幅に低い給食を提供し、年度末は不必要に豪華な食材を使用して帳尻を合わせた)があり、それにかかわる情報公開のようです。

この問題は私が平成19年10月1日に本会議ではじめて問題提起して以来、一貫して渋谷区議会民主党として適正化を求め、また再発防止の観点から公会計化(私費会計という特殊な会計で、杜撰な取り扱いが起こりうるので、区が公的に運営する制度に改めよう、というもの)を条例という形で提案してまいりました。
並行する形で、市民団体の「渋谷オンブズマン」も問題を認識なさって、情報公開などで不正を追及されてきたものです。


この記事を読む限り、非公開決定はあまりにも粗暴です。
渋谷区教育委員会はなにを考えているのでしょうか。


動向を注視していきたいと思います。
渋谷オンブズマンブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 19:12|PermalinkTrackBack(0)

2010年12月15日

新人候補予定者への呼びかけ〜区議会を傍聴して欲しい!

渋谷区議会の第4回定例会は10日に終わりました。
早めに報告を書かなくてはなりませんね。もう少しお待ちください。
以下、ツイッターで色々書いていたもののまとめです。

 

第4回定例会を通じて、注目していたのは来年の選挙に出馬を予定されている(と噂される)方が「傍聴に来てくれるか?」ということです。
結論からいえば、ほとんどの新人さんがいらっしゃいませんでした。
その意味ではオンブズの堀切さんは真面目ですね。何度か訪れてくださいました。


新人さんは、きっと何かを変えたい、という思いから決意をされたんだと思います。
場合によっては議会そのものの在り方を変えたい、という方もいらっしゃるのかもしれません。
ぜひ、その「変えたいポイント」が議会で今までどう議論されてきたか、押さえておいてほしいと思います。実際の現場に立ち人々の声を聞くだけでなく、議会での生の議論を確認し、その土台を活かして政策を練り上げていただければ、空論ではない地に足のついた議論となるはずです。
議員は当選から実際の任期までほとんど準備期間がありません。仮免期間などないのです。ぜひ、スタートダッシュを決めるためにも、政策について入念な調査を行っていただきたいと思います。


そして、ぜひどんどん意見を言ってほしいと思います。傍聴記ブログでもなんでも、ご自分で思ったこと・考えたこと・感じたことを表明していただきたいです。新たな論点を提起するのもいいでしょう。どんどん議論に加わって欲しいと思います。
それは、区民に対して今の渋谷区議会の議論や現状をお伝えすることにもなります。いいことを報告し、悪いことは問題提起していただきたい。あまり一方的な評価だと困りますが、的確に評価をしていただけるのならば、当事者の議員が自己宣伝で展開するブログとは異なった視点ですから大きな価値を持つと思います。


こういった活動は、議員に当選する前からできる、区民に対する貢献と言えるのではないでしょうか。
議員や候補者は、それぞれ異なった視点を持つライバルでもありますが、ともに「渋谷区をよくしていこう!」という思いを共有する同志でもあります。
一緒に切磋琢磨していきましょう。

 

ということで、新人さんに呼びかけます。
傍聴、お待ちしています!



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 21:54|PermalinkTrackBack(0)

予防接種づくしの1日

今日は朝から予防接種関係でヒアリング。
現状の予防接種行政全体を俯瞰し、今後の課題と方向性を確認することができました。


特に、以前も本会議で提案したロタワクチンについて、その重要性を再認識。
すぐにロタワクチンの研究者等に連絡を取ったところ、なかなか有益な情報を教えていただくことができました。
今後、具体的にレポートにまとめて行こうと考えています。


その後、今度はこどもの予防接種に。
兄はインフルエンザ2回目、妹は3種混合+ヒブ+小児肺炎球菌の3本同時接種です。
下の子は3本連続で針を刺されて泣き叫び・・・本当にかわいそうでした。諸外国では混合ワクチンが進んでいて、5種混合や6種混合が存在するようです。針を打つ回数が減り、体への負担を軽減されるわけですから、ぜひ日本でも進めていきたいものです。

ヒブワクチンと小児肺炎球菌ワクチンは2月まで待てば全額公費で接種できるわけですが、待ってる間に細菌性髄膜炎等に感染したら深刻な自己嫌悪に陥りそうですので、さっさと打たせることにしました。
できることなら償還払いにして接種控えを食い止めたかったのだけれど・・・


ということで、仕事もプライベートも予防接種づくしの1日でした。

このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 02:25|PermalinkTrackBack(0)

2010年09月25日

流山市議・松野豊さんの「統一地方選挙 良い候補者の見分け方」をご紹介。

来年の渋谷区議会議員選挙に向けて、徐々に各議員・立候補予定者の活動が激しくなってきたような気がしますね。

国や東京都の選挙と違って、当選するのが34名、立候補がおよそ50名ですから、皆さん方も選択に困るのではないかなぁと思います。

そんな方のために、流山市議の松野豊さんがなかなか面白い記事を書いていらっしゃいますので、ご紹介いたします。


「統一地方選挙 良い候補者の見分け方」10の法則(流山市議会議員 松野豊(まつのゆたか)の五感)」
http://matsunoyutaka.jugem.jp/?eid=19

 

個人的には、新人・現職、政党所属・無所属というのは、それだけでかなり大きいフィルターになってしまうので、この部分は参考程度に見たほうが選択の幅は広がるとは思います。
それと、一つ付け加えたいですね。


0、原点が明確かどうか

議員活動を始める原点は何かが明確であって初めて、ぶれない軸ができてくると思います。
軸がないと、いざというときに踏ん張れません。妥協妥協になってしまいます。
なにがきっかけで政治を志したのか、なにを変えるのか、どう行動したのか、
そこに一本筋が通っているか、をぜひ見極めてほしいと思います。浮ついた主張なのか、地道な主張なのかがよくわかりますよ。

 

有権者の皆さん、ぜひ、松野さんの記事を参考にしてご自分の「見極めポイント」を作ってくださいね。

 



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 13:18|PermalinkTrackBack(0)

2010年09月23日

渋谷区立宮下公園の問題を整理してみました。

宮下公園、社会学者の宮台先生もラジオで取り上げてくださったように、話題になっています。


この件については、論点が多く非常に複雑なうえ、誤解がかなり多いようにも思います。
私自身は議決にあたって賛成しましたが、今後正確な議論が行われるよう、また将来にわたって参考となるよう、できるだけ中立的な視点で論点を簡単にまとめてみます。時間が足りず、内容・文章とも十分練ったものにはなっておりませんが、取り急ぎ公開いたします。。
意見にあたる部分は斜体で表記します。


なお、このブログ記事をご紹介あるいはご引用いただきます場合、お手数ですがご一報いただけますと幸いです。
shibuya@s-kenpo.jp



○この件に関する過去のブログ記述
宮下公園運動施設管理条例について
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51762059.html

宮下公園の一部閉鎖について
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51820394.html

  


○基本的な枠組み
今回の契約については、NIKEジャパン社(以下ナイキ社)と渋谷区が宮下公園について契約を結び、

・宮下公園を10年間「宮下ナイキパーク」と呼ぶ(正式名称は「宮下公園」のまま)ネーミングライツの対価としてを年1700万円を渋谷区に支払う
・それに付随して、宮下公園の施設等を改修・新設する費用(推計4億円程度)をナイキが負担して工事を行い、区に寄付する
・さらに、ナイキ社が地域貢献として、公園施設を利用した地域活動を義務付ける


というものです。
これによって、宮下公園内に、従来のフットサルコートに加えてスケートボード場、クライミングウォールが設置されます。いずれも有料で利用する施設となり、所有は渋谷区となります。
公園全体の入園料はありません。場所の性格上夜間は閉鎖となります。

 

○論点整理
今のところ大きな論点としては以下。

A)公園をめぐる契約形態について
A−1)公園の私企業への売却にあたるのか
A−2)公園にネーミングライツは適用できるのか
A−3)公園を私企業が自由に整備していいのか
A−4)公園に私企業が大きな権限を持つことになるのではないか


B)契約について
B−1)ナイキ社が契約相手として妥当か
B−2)利権が絡むのではないか
B−3)公開入札もせず、不透明ではないか
B−4)不当に安価ではないか


C)手続きについて
C−1)民主的手続きを経ていないのではないか
C−2)住民の意思を反映していないのではないか
C−3)利用者の意思を反映していないのではないか


D)公園の機能について
D−1)公園の公共性について
D−2)スポーツの有料施設整備の是非
D−3)宮下公園の広場機能
D−4)野宿者(いわゆるホームレス)への対応
D−5)樹木の保存等について


E)強制的な執行手法について

 


○以下、順次説明していきます。


A)公園をめぐる契約形体について
A−1)公園の私企業への売却にあたるのか

上記のとおり、基本的には1)ネーミングライツ2)施設整備・寄付3)公園を利用した地域貢献活動、の複合です。整備された後の施設については区が管理することになります。
なので、「売却」にはあたりません。


A−2)公園にネーミングライツは適用できるのか

自治法238条1項5号の「商標権」で「普通財産」ですから、適用できます。


A−3)公園を私企業が自由に整備していいのか

基本的には寄付の枠組みなので、問題ありません。

(意見)この件では、ナイキ社から整備の提案があったのは事実ですが、それを区が精査したうえで協議し、区の意向に沿ったものに改められています。
実際、議会で民主党が提案した事項(広場機能の確保等)が反映されています。
ですから、「自由に整備」ではなくて、あくまで区の意向に沿った整備であると考えます。
cf.B−3


A−4)公園に私企業が大きな権限を持つことになるのではないか

ナイキの提案では競合排除のために各種イベントの事前確認と承認・否認の権利を求めていたようですが、これは認められていません。
なので、あくまで呼称をつけることができる権利に限られます。付随して地域貢献活動が義務付けられていますが、ナイキ社が大きな権限を持つとは言えません。

(意見)ネーミングライツ自体が巨大な看板での宣伝になる、公園が私企業の宣伝になることに対する反対のご意見もあります。一般的にネーミングライツでは名称の掲示であり、不必要に看板を乱立させる、ということは避けるべきだと私も思います。同様に、地域貢献活動も過剰にならないことが必要と思います。

 

B)契約について
B−1)ナイキ社が契約相手として妥当か

児童労働などの問題が指摘されていますが、これについては選定基準等が明示されていないため判断できません。

(意見)議会の議論では再三「ネーミングライツについて選定手続きと選定基準を明示すべき」と主張しています。この点、制度的に課題があると考えています。
ただ、それは事前に行われるべきことで、事後的に「この会社は児童労働で…」その他のという理由で契約解除はできないと考えています。
なお、私は区の調達一切において、児童労働などの産物を排除するよう提案しています(平成18年6月8日本会議)。


B−2)利権が絡むのではないか

実際に利権が指摘されるなら別ですが、噂でしかない段階ではなんとも言えません。


B−3)公開入札もせず、不透明ではないか

実際の経緯は、同時期に他社(リプラス:すでに倒産)も提案書を出しており、選定委員会を通じてナイキ社に決定しています。

(意見)これについても、ネーミングライツ手続きを明確にする必要があると考えています。提案を受け付けるのか否かを事前に明確にするべきで、制度上の改善を求めています。


B−4)不当に安価ではないか

施設整備等も含めての契約です。

(意見)不当に安価とまでは言えないと考えます。基本的にはネーミングライツの市場動向は価格下落が著しく、他の事例と比して安価とは思いません。

 

C)手続きについて
C−1)民主的手続きを経ていないのではないか

宮下公園運動施設条例が平成22年3月議会で議決成立しています。なので、民主的手続きを最低限は経ているといえます。
その他、区長発言や本会議質問、委員会報告などが行われています。

(意見)この点についても、私は不足があると思っています。
ただ、自治法の規定上、契約そのものを議決対象にすることはできません。また、負担のない形での寄附を議決対象にすることもできません。
今後、同様なケースで「ネーミングライツが妥当かどうか、大規模の施設整備寄付が妥当かどうか」などについて議会の十分な関与が可能になるよう知恵を絞っていきたいと考えています。


C−2)住民の意思を反映していないのではないか

何を持って住民意思を反映とするかどうか難しいところですが、地元の町会・商店街等から要望も出ておりますし、ある程度は住民意思を反映しているといえます。


C−3)利用者の意思を反映していないのではないか

前項と同様に何を持って意思を反映とするかどうか難しいところです。
こちらは何とも言えません。


(意見)一般的に渋谷区のように来街者の多い地域では利害関係者が拡大しますので、より丁寧な取り扱いが求められる(例えばパブリックコメントの活用など)と考えています。

 

D)公園の機能について
D−1)公園の公共性について

今回の件について「公園から低所得者が排除される」という論調等があります。
また、公園は公共空間として誰もが使える施設にするべきであって、若者対象の施設を多くすることには反対という声もあります。
一般的には、都市公園法などで定められた範囲を順守すれば最低限足りると考えられます。

(意見)色々な考え方があります。これからも引き続き議論が必要ですね。


D−2)スポーツの有料施設整備の是非

こちらも、都市公園法等によって施設を設置できる面積割合が決められております。従来のフットサルコートのように有料施設も設置が可能です。
また、十分な広場面積が確保されることとなっています。


D−3)宮下公園の広場機能

宮下公園は立地の特性で、デモ等の起点終点になりやすく、表現の場としての広場が重要です。設計上は十分な広さが確保されているようです。

(意見)これについては各種団体からの要望を受けて、渋谷区議会民主党として要請した項目の一つです。それを受けて当初計画から広場が拡大されました。


D−4)野宿者(いわゆるホームレス)への対応

30数名→4名となっています。区によると、区の斡旋によって自立支援施設やアパート、宮下公園駐車場脇などに移動したということです。
4名のうち1名は4月から、ナイキ化反対という主張もあって住んでいる、ということです。他3名については、他地域に移動するというお話も伺っています。


(意見)こちらについても会派で「福祉的な対応を強化すること」と訴え、それに対応して粘り強い対応が行われていると(いいなと)思います。
基本は自立支援の取り組みが重要ですから、そちらを強化していくべきではないでしょうか。
また、駐車場脇については、劣悪な環境であるという指摘もありますが、環境向上に取り組むよう要請しております。


D−5)樹木の保存等について

基本的には今ある樹木については状態が許す限り残る、と聞いています。

 

E)強制的な執行手法(行政代執行他)について


(意見)これはとても重要な論点なのですが、情報がまだ集まっていませんので、今後慎重に考えたいと思います。
今日の段階で、提起された「執行停止申立て」が却下されたそうですが、だからと言って政治的に「正当だ」ということもできないと思います。

(参考)
○渋谷区
区立宮下公園の代執行の公告について(報道)
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/news/oshirase/miyasita_daishikkou.html
区立宮下公園の部分閉鎖について(報道)
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/news/oshirase/miyasita_heisa.html
○その他
宮下公園の行政代執行に関し渋谷区へ提訴(ホームレス総合相談ネットワーク)
http://lluvia.tea-nifty.com/homelesssogosodan/2010/09/post-fc4b.html

 



以上です。
読みにくくてすみません…

(参考)
渋谷区が強制代執行−「宮下ナイキパーク」整備に向けテントなど撤去(シブヤ経済新聞)
http://www.shibukei.com/headline/7192/



このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 15:36|PermalinkTrackBack(0)

2010年07月20日

参院選雑感。

今更ながら参院選の雑感を。

事実としては、
1)比例の得票数は落ちたものの、民主党が比例第1党。にもかかわらず獲得議席第2党。
2)序盤は民主党優勢、しかし終盤にかけて急速に民主党劣勢
3)完全なねじれ国会


1)からは、選挙制度的に致し方ない点もありますが、民主党はまだまだ堅調であるといえます。
2)からは、選挙の拙劣さに起因するブレーキがかなり深刻だった、と。


私が思うのは、あまりにマニフェスト(公約)についての取り扱いが杜撰だったということです。
公約が修正されるのは仕方ありません。時間が過ぎるにつれて情勢も変わりますし、なにより与野党間の情報格差がありますので、与党になってから現実に合わせなくてはならないことが往々にしてあるからです。

しかし、マニフェストの修正には、現状認識の明示、公開で公平な議論、そこから導き出された合理的な理由
の提示、そして修正に対する一定の謝罪と国民の納得、が必要です。
今回は、党員たるわれわれでさえマニフェストの修正について議論・疑問がある状態であり、十分な議論と説得が行われたとは口が裂けても言えません。

いわば、レッテルを張れば「マニフェスト(公約)を杜撰に扱っている」状態です。これじゃー勝てんよね。国民から信頼されるはずがない。少なくとも民主党政権は前政権と違い「マニフェスト(公約)を尊重する」という姿勢を明確に持つべきでした。

消費税の議論は、この信頼感の欠如に燃料を与えた存在です。普天間問題でも同様ですが、現実に立脚しない浮ついた議論にしか見えなかった。それは、言葉や公約を大事にしない政権、という印象を与え、信頼感の欠如、不信感の拡大、につながったのではないでしょうか。
それでも得票第1党なので、有権者は実に寛大だなぁ、とも思うのですが…


まぁ、我々地方議員としては、今回の選挙を反省材料に、地域での公約、選挙政策に「とことん忠実に、とことん大切に扱う姿勢」を明確にしなければなりませんね。 言いっぱなしは絶対! ダメです。

具体的には、
・進捗状況
・できなかった場合には、できなかったと正直に提示
・できなかった理由、方向転換せざるを得なかった理由
・できなかった場合でも、理念の一部でもどこかに反映し、それを書くこと
さらに、次回作成する場合には、
・前回公約との整合性・連続性を明示すること
が必要です。


有権者は、私たち政治家の「姿勢」をまず見ているものです。
政策はそのあと吟味するか、あるいは政策を見ない人も残念ながら多いですが、どちらにしても第一は「姿勢」です。
#ニッチな政策の場合は政策を第一にして選ぶ場合もあります
肝に銘じて頑張っていきたいですね。


このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 23:07|PermalinkTrackBack(0)

2010年05月12日

参議院議員選挙における著名人予定候補者の立候補・擁立について

著名人が参院選への出馬を表明したことについて、賛否両論、どっちかと言えば否定的なコメントが多いですね。
よくお見かけするのは、著名人の知名度・票目当ての擁立で、けしからん。著名人側もそんな誘いに乗るなんて、失望した。云々。


こんな簡単に断じることができる根拠がどこにあるのか、私にはよくわかりません。
超有名人でも、見識ある人はあるだろうし、ない人はない。芸能人やスポーツ選手は普段政治を語ることは避ける傾向があるだろうから、見識自体を判断することは俄かにはなかなか難しい。
だから、軽々にあーだこーだ評価するのはどうかなと思うんですよね。

著名人が著名人であるから「参院選候補としてふさわしくない」というのなら、既に立候補の自由を奪ってしまっているというものです。
実際に頓珍漢な候補者だったらそれこそ投票しなければいいわけです。
著名人だろうがなんだろうがきちんとふるいにかけていく、候補者側も誠実に情報公開(見識や思想行動の公開)に応じて有権者に判断材料を提供する、こういった姿勢こそが大事なのだと考えます。


問題なのは、政党の公認決定過程。
参院選の比例区で擁立決定をした過程がどれほど真剣なものなのか、基礎知識や理念等の確認はされたのか、国会議員として十分活動できる人物だとどこまで保証できるのか、と言う政党の姿勢です。
公認候補の選考基準は問われてしかるべきです。むしろ、「この人なら納得だ!」という活動ができるような候補者をそろえることができなければ、政党としての存在価値は半減です。


残念ながら、今までのいわゆる「タレント候補」には、資質が問われるような方もいらっしゃったようです。
今回の各党の擁立候補にはそのような人がいないといいのですが…


ということで、結論としては、
「著名人が立候補することは問題ない。しかし、政党の公認決定過程は厳しく問われている」
と言う感じ。
われながら弱いな・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加
kenposzk at 00:53|PermalinkTrackBack(0)