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2011年06月15日

「子どもたちを放射線被ばくから守るための請願」について

本日は本決定の日。
渋谷区議会では、各委員会で議案の採決が行われ、大きな方向性が確定する大変重要な一日です。



今定例会の焦点はいくつかありますが、渋谷区のお父さんお母さんたちが提出された
「子どもたちを放射線被ばくから守るための請願」
について今回はご報告します。



結論から言うと、継続審査となりました。
ご期待いただいていた方、申し訳ありません。力不足をお詫びします。

最終的に形式を捨てて実質を取るという選択をいたしました。
長文ですが、以下ご覧いただければ幸いです。


請願・陳情は、区民から渋谷区議会に対しての提案事項です。
渋谷区議会では、請願は紹介議員を必要とし、最終的には議決によって賛否を決定します。
陳情は紹介議員を必要としない代わりに、通例議決にかからず文例による回答となります。
(文例は、廃案・関係機関に送付・今後の参考にする・意見書等を出す、などの6種類です)
請願・陳情の取り扱いは各議会によって大きく違いますので、渋谷区議会ではこんな感じ、と考えてください。


(以降太字は私の意見です)


<請願の内容と紹介議員>

請願の本書はこちらをご覧ください。 → http://hamada.to/files/pdf/068.pdf
字が汚いのがばれますね(笑)


上段には趣旨に賛同した紹介議員の署名があります。
賛同する会派(政党などのグループ)から1〜2名の紹介議員が出るのが通例です。
審議する委員会(今回は福祉保健委員会)の議員は紹介議員になれません。
筆頭者が委員会に置いて説明をするのが慣例です。




請願の内容を要約すると
 1)こどもが生活する場所の土壌について継続的に、細かく線量測定をして、公表して欲しい
 2)場合によっては土壌入れ替えをして欲しい
 3)給食の内部被ばく対策をすること
ということです。



民主党渋谷区議団では、既に6月6日・7日の本会議の場で以下の提案をしています。

 ・独自での線量計測(高さ1メートルくらい)を何箇所か実施
 ・土壌の放射能測定(校庭・園庭・公園等)の実施
 ・内部被ばくの防止、保・幼・小・中での食材/水/プールの対策
 ・特に、学校での内部被ばく対策を防ぐためのサンプル調査、弁当容認を


答弁など詳しくはこちらのブログ記事でご覧ください → http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51897910.html



ご覧のとおり、具体的なだけで方向性は同じです。
ですので、喜んで請願の紹介署名をいたしました。



請願署名を行ったのは、請願筆頭から
 ・民主党
 ・共産党
 ・みんなの党
 ・無所属クラブ
 ・純粋無所属
の各会派です。


民主党の浜田議員が筆頭として委員会での説明をいたしました。




<審議の焦点>


「こどもを守るために区の十分な対応は必要だ。請願の趣旨には賛同する」

というところは、少なくとも私が知る限りどの会派も同じスタンスでした。

じゃあ、全会一致で決着か、というとそうではありません。


議会はとても理屈を大切にするところなのです。あたりまえですね。
それはいいところなのですが、時として融通が効かなくなるという課題もあります。


今回がまさにそのケース。
審議の焦点は、とても形式的なところになってしまいました。



一つの立場は、
「区長が実行を約束するなか、議会が同趣旨の請願を採択(賛成)することは、区長つまり執行機関を信頼していないということにつながる」
というもの。
この立場から
「実行されているものを確認して、不足があれば採択すべき=今回は継続し、9月議会まで調査する」
という主張をされていました(傍聴している立場なので、正確とは言えませんのであしからず)。



もう一つの立場は
「区長が実行を約束していたとしても、議会は議会で意思を示すことが大切。請願者の思いを反映させるためにも今定例会で採択するべき」
というもの。
この立場から、
「すみやかに採択すべき」
という主張でした。民主党はこちらです。




私の考えは後者、速やかに採択すべきという立場です。
が、前者が間違っているとは言えません。
請願の位置づけをどうとらえるか、このくい違いによって立場がことなっており、どちらが正しくてどちらが間違っているというのは簡単に言い切れないからです。



結果として、立場の違いは埋められず、
5時間近く「今日決着するか、継続審査にして9月に決着するか」
という、請願の取り扱いについて延々協議することになってしまいました。



こどもをどうやって守るか、どう対応するのが適切か、を議論する必要があるのに、歯がゆいですね・・・
でも、悔しいですが議会というのはそういうところなのです。
理屈を大切にするあまり、理屈同士のせめぎ合いで
「どちらが正しくてどちらが間違っている、と決めることができない」
状態になってしまうことがあるのです。



政策における意見の差であれば多数決で決めるのも一つの知恵です。
でも、今回は「決着」と「継続」が福祉保健委員会の中で同数でした。
「内容そのものにはみんな賛成、でも請願という形式をどうとらえるかというところで立場が分かれる」
という中で、多数決をしていくのは、ちょっと難しいことです。



国会では強行採決はしばしば批判の対象になります。
あれと同じ。議案の取り扱いについて異議がある場合には、できるだけ採決を強行するべきではないと思います。


余談ですが、今回は共産党さんが委員長でした。可否同数の中、委員長が「決着する」と宣告すれば、継続審査にはならなかったでしょう。
しかし、そうはなさいませんでした。それはそれで一つの判断です。
その一方で、最後に共産党さんは意見表明を求め「今定例会で決着するべきだ」と主張なさいました。
委員長としての判断と、政党としての主張のずれに、この問題の難しさがあらわれています。




<最終的な結論>


このようなせめぎ合いにより、膠着状態で会議が開けない状態に陥りました。
通例渋谷区議会では議案の取り扱い方法については傍聴者のいないクローズドな場で行っているので、結果的に傍聴者に長時間お待ちいただいて「議論の上澄み」だけみていただくことになってしまったようです。



個人的には、こういった取り扱いについての議論も公開である程度やってもいいかなと思います。
継続側の議員の発言などを聞いていると、内容には賛成だが形式論として賛成しきれない苦悩、というものをひしひしと感じました。
こういうのを含めて公開したほうがいいのではないでしょうか。



話を戻します。
膠着状態の際、最終的なゴールとして
「区議会としては、総意でこどもを守る対策を進めたい」
という考えのもと、ある提案がなされました。



こういう交渉事で、誰がどういう提案したのか、ということを公開するのはルール違反だと思いますので、省略いたします。



最終的にまとまった折衷案を私なりに要約しますと、

 1)継続審査を求めている会派も、請願の内容そのものに反対ではない、ということを確認する
 2)請願の内容である、土壌の調査と給食の調査について、福祉保健委員会の総意として行政側から報告を求める(含む要請)場を別途(20日前後?)設ける。
 3)同趣旨の陳情について、「速やかに取り組むこと」という意見を取りまとめて行政に示す
 4)既に表明されている「検討委員会(上記ブログ参照)」について、福祉保健委員会で速やかに報告を受ける(当然、請願の要請で不足があれば対応を求めることになります)
 5)その上で、請願については継続審査とする

というもの。


請願についての形式論がブレーキになっているので、これは譲るが、議会の総意として請願者の意思を具体的行動に落とし込んでいこうとする考えです。

私たちは、実質的に請願の意図を形にしてこどもたちを守る方向で議会が動く、という意味で、了解をいたしました。




請願を出された方々は、一人でも多くの議員、できれば全ての議員が請願に賛同されることを望んでいたと思います。それは、こどもを守るための取り組みを区議会全体で行うことを求めているからです。


しかし、この請願について全員賛成というのは形式的な側面でうまくいかないのが現実でした。
今定例会で議決することすら大変難しい状況です。


ならば、区議会全体としての実質的な行動を取り決め、実行することによって、請願者の思いを形にしていこう。
これが私たちの、私の判断です。

区議会全体で一丸となって進むならば、形式論で賛否が分かれて請願が採択されるよりも、大きな成果を生み出すことができると確信しています。
請願を出していただいたことによって、区議会は大きく動くこととなりました。これは、今まであまり例のないことです。




最終的に、請願を出された方々が、
「継続審査なんてダメだ! 白黒はっきりつけるのが当然だ!」
と思われるのか、
「議会全体として動くのであれば、大きな前進だ」
と思われるのかはわかりません。


それはみなさんの判断にゆだねたいと思います。




以上、長文になってしまいました。
ご覧くださいましてありがとうございました。






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kenposzk at 02:04│TrackBack(0)議会活動 

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