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2011年04月13日

図書館の希望、希望の図書館 〜寄稿していただきました〜

山中湖情報創造館 の丸山高弘館長から、東日本大震災を受けて、地域の公立図書館が今後どのような役割を果たしていくのかについて寄稿していただきました。


他の公共施設にはない、独自の全国組織を持つ公立図書館。
未曾有の震災に直面し、このネットワークが大いに活躍しています。

人類の英知の集積へのアクセスポイント、情報拠点としての図書館にどんな未来が待っているのか。
興味深い内容です。ぜひご覧ください。


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図書館の希望、希望の図書館
Hope4Library, Library4Hope




■ 東日本大震災

平成23年3月11日金曜日、これは現代の日本人にとって忘れることのできない日となってしまいました。

M9.0という想像を絶する地震とそれに伴う大津波、あいつぐ余震…さらには、原子力発電所の事故。
私たち日本人は、技術を過信し、自然の脅威を過小に評価してしまった結果なのか。生き残った私たちの未来に、不安を感じる日々が続きます。
そのような中に置いても、復興に向けた数々の取り組みを見聞きするにあたり、人のチカラの偉大さも感じることができます。困難にあっても希望をすてず、あきらめず、未来へと進んでゆく。これが人のチカラ、日本人のチカラなのだと感じています。

この地震において、東北地方や北関東の図書館もとても大きな被害を受けました。
この未曾有の危機において、被災した現地の公共図書館は、自ら被災しながらも、多くの支援をしていると聞いております。避難所になった複合施設の図書館などでは、いち早く避難所の子どもたちを安心させるために本を読み聞かせるなどの時間を設けています。そのおかげで、保護者の方は復旧・復興に向けた取り組みに関わることができていると聞きます。
ささやかことかもしれませんが、あの日避難所で絵本を読んでくれたお姉さんのことを子どもたちはいつまでも憶えていてくれることでしょう。




■ 地域を支える情報拠点として

かねてより、地域の図書館は「地域を支える情報拠点」としての役割を求められていました。
ただ実際このような想定を超える様な大きな災害が起こった場合には、図書館が図書館としての機能すら破壊され、充分な情報提供サービスができなくなってしまいました。
さらに多くの公務員による直営図書館では、図書館の復旧よりも避難所の応援などにかり出され、図書館員としてのスキルを充分に活用できる作業にあたることができていない。そのようなもどかしい思いをしている公務員の図書館員の方も少なくはありません。

図書館員は、常日頃から数十万冊を超える本を集め・整理し・保管し・検索可能な状態にし、求める利用者にいち早く提供することを毎日のサービスとしてきました。
これは災害時においても同様なのです。

避難所においては、それどころじゃない状況にあることも重々承知の上で書きますが、何よりも「情報が欲しい」という場面で、持てるスキルを活かせないでいる図書館員が少なくは無い。
発災後の数日は被災地には停電でした。テレビもラジオもインターネットも…電気や情報通信が途絶えていました。
しかし、図書館員はかつて「手書きの目録カード」を用いて、数十万冊の図書を分類整理する技術も持っていました。そのスキルを用いることで、紙と鉛筆だけでも、情報を収集・整理・保存・提供することが本当のプロフェッショナルの図書館員にはあるのです。

図書館が「無料貸本屋」と揶揄され続けてきた時代も、この震災で終わりを継げます。
地域の復興といっしょに、図書館が本当の意味での「地域を支える情報拠点」に生まれ変わると考えています。




■ 全国の図書館のネットワークが支えている

図書館が他の公共施設と大きく異なることを、今回ほど実感したことはありませんでした。

それぞれの図書館が県や市町村による設置の施設であるにもかかわらず、実は図書館業界は大きなネットワークを持っているのです。日々の業務の中でも[図書館関相互貸借 ILL]のネットワークを持ち、近隣地域や県内の図書館、さらには他県の図書館や国会図書館との、ギブ&テイクな資料の貸し借りがあります。

こうした日常的な図書館間のつながりが、今回の震災においても動きました。



博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト



このサイトは、発災後すぐに、 saveLibraryとして立ち上がり、その後MLA連携(Museum:博物館・美術館, Library:図書館, Archives:公文書館)になり、現在はさらに公民館(K)を加えた活動となっています。こうした活動がすぐに生まれるのも日本中の図書館がゆるやかにではあるもののネットワークを持っているからこそだと感じました。

筆者自身もこの活動の中で、自館(山中湖情報創造館)や山梨県内の状況を担当するとともに、災害記録のデジタルアーカイブ構築に参加しております。
今回の災害では多くの写真や映像が記録されインターネットのあちらこちらにアップロードされています。そのような中でも、できるだけ無理のない収集方針を持ってアーカイブに取り組めるのも、日頃、図書館のデジタル化や、デジタルアーカイブなどに取り組む図書館の活動があってのことと、感じています。


また、日本図書館協会をはじめ多くの方のご尽力により、通常は[公衆送信権]によって行なうことができない、遠隔地へのレファレンスサービス(調査相談サービス)を実施できるよう著者・権利者の方々へ協力依頼が出されました。

被災者を支援する図書館活動についての協力依頼(日本図書館協会)

これにより、被災地外の図書館から、資料のコピーをFAXやメールなどで送付することができるようになり、さらに朗読や読み聞かせなどの中継配信や動画配信ができるようになりました。
公共図書館は法律・条例で公共サービスを提供しているので、著作権法による制限がどうしてもあります。今回は時限的ではありますが、業界団体一丸となって取り組みが行なわれています。

ただ、実際には被災地からのレファレンスサービス依頼は少ないのが現状です。これも「避難所」や「災害対策室」などの場に、情報担当として図書館員を配置できていないことがひとつの原因と考えられています。
ネットで検索するその一手間を、全国の図書館の協力に振ることができたら、どれだけ時間を有効に使えるか。これは今後の課題のひとつでもあります。




■ 図書館の希望、希望の図書館。

筆者は、この災害に対してひとつのロゴマークを作ってみました。


Hope4Library, Library4Hope.


最初は、被災した図書館に希望をもたらすために、Hope4Library

4は英語のforの略文字として使われています。
これは「図書館のための希望」。被災した多くの図書館が復旧・復興するための希望を、全国の図書館員たちが、全世界の図書館に関わるたくさんの人たちが応援しています。
「ひとりじゃない」これは図書館の希望。

そして、次にLibrary4Hope.

これは「希望のための図書館」です。
被災した沢山の方が、明日への希望を見失っています。実は図書館はそんな未来が見えなくなったときにこそ、たくさんの「本」の中から明日への希望を見つけるための「言葉」を探して提供してくれます。
永々脈々と続いて来た人々の叡智が、この図書館にはあるのです。たくさんの悲しみや苦しみの中から生き抜いて来た人々の叡智が、この図書館にはあるのです。そのたくさんの想いや伝え残したいことが、図書館には本の中に文字になって詰まっているのです。



図書館は「希望」を見つける場所です。
図書館員はみなさんの希望を見つけるお手伝いをします。
ここには、未来への希望が詰まっているのです。



■ 希望の図書館になるための提案
筆者からの「未来への希望の図書館づくり」に向けた提案をまとめてみました。



1.サービス対象者は人類の全て
多くの図書館は、公共空間なので入館には制限はありませんが、利用者登録し貸出サービスなどの提供を受けるとなると、その対象者を在住・在勤・在学者に限定しています。
これは一見正当のようにみえますが、公共図書館を運営しているのは各自治体です。住民の方々からだけでなく、地方交付税など国からの税金も財源に含まれていることを考えると、どんなに小さな図書館であっても、日本国民全員がその利用登録ができることができると良いのではないでしょうか。


2.インターネットへの無料アクセスポイント
  これまでの図書館は本や雑誌、新聞が主流で、音楽CDやビデオ/DVDといった視聴覚資料も充実してきました。
さらに今後は、インターネットへのアクセスポイントとしての公共図書館の役割が求められます。パソコンをお持ちでない方には備え付けのパソコンをご利用いただき、無線LAN対応のノートパソコンは、そのまま館内でご利用いただける。どんな旅先であっても、図書館に行けばインターネットにアクセスできる。そういう場所になりたい。


3.「文献」の提供から「言葉・情報・知識・物語」の提供へ
  図書館の検索がどうしても「本(文献)」単位になっている現状があります。しかし実際に多くの方々のご要望に対応していると、本当に必要なのは「その本」ではなく、そこに書かれている内容であることに気がつきます。
今までの図書館が「本」を中心にして来たことに対して、未来の図書館・希望の図書館では、その「本」に書かれている事柄(コンテンツ)の中から、利用者の方が求める「言葉・情報・知識・物語」を提供する。そのような仕組みづくりが必要であると考えています。



4.利用者重視のサービス業であれ
なによりもまず顧客重視のサービス業なのです。
もちろん公共機関ですので、前述したとおり、法律や条例に基づいたサービスを提供しなければなりませんが、それでも出来うる限り利用者の方のご要望にお応えできるサービスを心がけていきたいと考えています。
希望の図書館にとって「図書館員のスマイル」は必要不可欠であると、当館の職員にも伝えていることなのです。




以上のように、図書館の未来、未来の図書館。そして図書館の希望、希望の図書館を考えながら、日々の図書館業務に関わっています。
申し遅れましたが、筆者自身は2004年4月より、山中湖情報創造館の指定管理者としてすでに3回目の協定期間の2年目、8年目に入っております。
NPO法人がこの事業に取り組み、様々なご意見をいただきながら今日まで従事してきました。まだまだ解決しなければならない課題もたくさんありますが、指定管理者制度による希望の図書館づくりは、まだしばらくは続きそうです。
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山中湖情報創造館 指定管理者 館長  丸山高弘



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