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2011年03月31日

「自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ」〜寄稿して頂きました〜

経済評論家の渡邊哲也氏に、この度の国家的な「危機」に直面して、地方自治体が見据えるべき今後の日本経済の推移とその対応策について書いていただきました。

示唆に富む内容です。
ぜひご覧くださいませ。

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自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ


 今回の東日本大震災で被災された方にお見舞い申し上げます。


 今回の震災では、地震、津波、原発という3つの災害が同時に襲いかかりました。
 地震による災害は、このように複合化した災害を呼び込み、それが全国的な麻痺として、被災地域だけでなく、広範囲に影響を与える可能性があります。


 まず、今後を考える上で今回の災害の最大のリスクは、原発問題の長期化と電力不足問題となります。
 原発の影響がどこまで及ぶのか、そして、いつまで及ぶのかが大きなリスクとして、被災地域の復興の妨げとなるでしょう。また、長期的な電力不足により、消費と生産活動が抑えこまれ、それが景気の悪化を促進することになると思われます。



第一章 災害から見えた日本の弱点

■今回の震災の教訓

 今回の災害で明確化した問題点で言えば、「日本全体が巨大なサプライチェーンになっている」ということです。

 一言で言えば、製造業で言う「カンバン方式」が流通や燃料などのインフラ部分にも及んでいるということです。POS化により、店舗は在庫を最小限にとどめ、問屋からメーカーまで一律に必要なものを必要なだけしか作らず、在庫を持っていないリスクが顕在化したといえるでしょう。解りやすく言えば、コンビニがその典型で、一度に急激な需給バランスの変化が起きたときに極端な物不足が発生し、対応できない経済形態となってしまっているのです。

 また、今回の震災でのガソリンや灯油などの不足の原因の一つは、石油会社の合併による油槽所(タンク)集約ともいわれております。
 全国各地に分散されていた小さな油槽所が廃止され集約されたことで、ひとつの油槽所にかかる負担が大きくなり、被害が発生したときのリスクを拡大させたとも言われております。


■自治体で出来ること
 災害時を見据えた物資調達をどうするのか、自治体域内にあるリスクはどこにあるのか、そして、そのリスクをどのように軽減するかを真剣に考えるべきでしょう。

 地震災害により発生する破壊を抑制するリスクコントロールに対して自治体は援助すべきでしょう。
 今回の千葉の油槽所火災を見ても、手に負えない状況が非常に長く継続しました。平時における企業との連絡通報システムの拡充と前もっての優先付けが必要になると思います。

 また、自治体における非常時備蓄も域内備蓄と他地域での備蓄の拡充が必要と思われます。
 人口の多い東京などの場合、他地域での備蓄や避難所の前以ての確保が重要でしょう。今回も一部が利用されることになっていますが、廃校や余った公営住宅が全国に点在しています。これを平時から都市の自治体が借り受けておき、使える状態を維持するという対策ならば、大きなコストは掛かりません。また、地方の工業団地には空き工場が沢山あります。これを備蓄拠点として活用するということも考えるべきではないでしょうか。

 
第二章 経済予測

■原発問題と電力不足
 前文でも述べましたが、中長期的に日本経済に大きな負担となっているのは、原発問題と電力不足です。
 原発近隣地域での生産は再開の目処が立てられず、電力不足は東京電力管内の静岡県まで及びます。このエリアにおいては、施設が復旧しても完全な生産が継続できない状況が長期化するとみられています。すでに、企業の一部では他の地域での増産だけでなく、部分的な生産移転を考慮しており、早期の電力確保計画が立てられなければ、この動きは拡大するものと思われます。

■資金ショート観測
 鉄道インフラの混乱と消費自粛の拡大により、3月11日から急激な消費減退が発生しています。これはリーマンショックを越える企業倒産を誘発させかねません。

 短期側面で見た場合、まずは決済資金のショートによる倒産をどのように防止するかという即時の対応が必要です。いくら黒字の企業でも、資金ショートが発生すれば倒産の憂き目に会います。これを阻止できるかが大きな問題となります。
 そして、中長期側面で見た場合、長期安定資金の貸付が重要な意味を持ってきます。長期の安定した手元資金を供給することで、企業は今後の生産計画の策定が可能になり、復興に向けての活動を始めることができるようになります。



第三章 行政に望まれる対策

■災害対策

 原発対応や電力不足を電力会社に任せておくべきではないと思います。国家が積極的に関与し、電力融通施設の拡充と自家発電など短期間に対応できる部分を支援しなくてはいけません。
民間だけで出来ることには限界があります。そして、行政に出来ることも限界があります。ですから、行政が積極的に責任を取る形での官民一体対応でなければ前に進まないと思います。

 先日、タイ王国の好意により発電所一式が日本に貸し出されることが公表されました。そして、この施設は8月には可動可能との事です。早急に国は同様の発電施設を持つ国への打診すべきでしょう。外交は国家が行うべきものであります。

 また、電気の融通の拡大を含めた日本国内の電力供給システムの再構築も重要になると思います。この部分においても、非採算部分は国が積極的に関与すべきです。

 この目処がいつまでにどの程度立てられるかが、今後数十年単位での東日本経済を決める鍵になるでしょう。ここでコントロールに失敗すると、街の形は戻っても、産業と雇用が失われた都市ができるだけとなりかねません。
 これは首都東京にも言えることであると思います。


 さて、地方自治体の観点で見た場合、国の対応にどのような協力ができるかと言う事になります。国の動きに連動する形での発電施設などのための場所提供や、その施設までの水道や下水道など周辺環境部分のインフラ支援ということになります。

 また、省電力への協力も重要になると思います。
公共施設で使われている白熱電球を効率のよいLEDや電球型蛍光灯に変えたり、公共施設のガス冷房化、学校など避難所機能を持った施設への自家発電や太陽光パネル設置など、現在の省エネルギーと将来の安全確保という二面を持った施設更新が可能であると思われます。

 また、ディケア施設や訪問介護のしくみを利用して、生活弱者である高齢者のさらなる実態把握を進めるべきでしょう。同時に省エネへの協力を求めることも可能であると思います。
平時での非常時インフラの整備と協力体制の構築が非常時での被害者を最小限に留める原動力ともなります。

 そして、緊急時の物資の供給と安全確保は行政の要となるものです。
今回の場合、水など生活基本物資の不足が問題となっています。この原因の一つとして、買い占めが指摘されております。備蓄は当然として、地域住民に対して、どのように安定配布するのかという仕組みの再構築も重要となると思われます。
 確実に手に入るのであれば、買い占めの意味がなくなり、探し求める無駄が減らせますので、交通インフラを含めた混乱要因を取り除くことが出来ます。

■金融政策

1,短期政策
 すぐに対応できる「つなぎ融資制度」を拡充し、誰でも一定額を借り入れることが出来る仕組みを構築する必要があります。
 まずは、このような非常時ですので、金融機関などと協調し、資本額や売上げに合わせ、一定額を無条件で借りられる特別制度などが有効であると思います。
 この制度は、期間を30日から90日程度で設定し、銀行側にリスクを取ってもらい5−7%程度の金利で貸し出す制度です(悪質な金融業者などに頼らないで良い仕組みを作る)。


2,中長期政策
低利の安定資金制度と借り換え制度の拡充

 これは行政の支援による斡旋融資となり、行政による担保の提供により、安心して長い資金を借りやすい状況を作るわけです。すでに、リーマン・ショック後の危機対応により大幅に拡充されましたが、これを延長し、さらに使いやすいものにする必要があると思われます。
 すでにモデルケースがありますので、予算と内容の拡充決定だけで可能です。

 何故、このような二面対応とするかといえば、議会での結論を待っている時間はありません。ですから、まずは民間に協力してもらい、財源を必要としない危機対応を確保することが大切です。
 そして、事後的に行政がそのリスクを引き受ければいいのです。これは行政と金融機関の調整と話し合いで可能であると思われます。
 これがどこまで出来るのかが今後の復興の課題であり、日本経済の先行きを決定づけるものになると思われます。

 中長期的に見れば、復興需要は必ず生まれます。この段階に移るまでの間、企業を継続させ、雇用を安定させる必要性があるわけです。
 このリスクコントロールに失敗すると、失業者を生み出すだけでなく、復興需要が海外に奪われる可能性も高いと言えるでしょう。

 さて、こちらも地方自治体で何が出来るのかということになります。
 基本的に行政による斡旋融資の実施主体は地方自治体です。産業振興課などを通じて、各企業の実態把握を進めると同時に、もっと使いやすい制度が構築できないか考えるべきでしょう。
 また、地元金融機関との協力体制を拡大し、各役所での一元化した緊急窓口の拡大とその告知に務めるべきであると思います。行政が把握する企業に対して、行政側からパンフレットを配布するだけで、大きく認知度が高まることと思われます。
 税務上の優遇処置や補助金などはわかりにくいものが多く、知ると知らないでは大きな格差が生まれているのが現状です。この徹底をはかり、住民の安心感を高めてゆくことができるはずです。


 危機時における信用収縮は、相互の疑心暗鬼(連鎖倒産を恐れるがゆえに取引規模を縮小する)が生み出す部分が非常に大きいのが現実です。この部分をどのように取り除けるかは、国だけでなく、緊急融資の直接的な窓口となる都道府県や市町村の行政であるとも言えるでしょう。


「一刻も早く安心感を与え企業の継続が可能な状況を作ること、そして、復興に向けての計画を作りやすい環境を生み出すことが行政の役割でしょう。日本人が日本を信じている限り、日本は必ず復興する。災害国家である日本では、災害と復興は幾度と無く繰り返されてきたことなのです。」

渡邊哲也

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プロフィール

渡邉哲也(わたなべ・てつや)
1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒。貿易・卸の企業に勤務の後、独立。複数の企業運営にも携わる。
仕事上、海外の経済情勢に精通。ネットを通じて発信している内外の政治・経済状況のリサーチと解析には定評がある。リーマンショックを当てた「ドル崩壊!」を監修、「完全にヤバイ!韓国経済」共著(彩図社)欧州危機を予言した「本当はヤバイ!欧州経済」を執筆、「日本はニッポン! 金融グローバリズム以後の世界」共著など金融や経済に関わる著作を行っている。また、政治や経済に関わる様々な著作の企画や監修にもあたっている。
人気経済ブログ「代表戸締役 ◆ jJEom8Ii3E の妄言」を運営。
http://www.watanabetetsuya.info 連絡先はinfo@watanabetetsuya.info



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