渋谷区総合防災訓練渋谷区議会定例会の準備・東京財団勉強会

2007年09月02日

自治体議会議員の新たな位置づけ

先日の特別区研修会で配られた資料「自治体議会議員の新たな位置づけ」を要約します。

都道府県議会制度研究会(都道府県議長会設置)の最終報告書で、平成19年4月19日に発表されました。

ちなみに、斜字は私の見解です。

 

「自治体議会議員の新たな位置づけ」

 

1自治体議会議員の新たな位置づけ

(提案1)自治体議会の議員の職責・職務を法令上に明確に位置づけるため、地方自治法に自治体議会の議員の職責・職務に関する規定を新設せよ

分権の進展に伴い、議員に求められている活動の領域も時間的にも場所的にも拡大している。しかし、現行制度では非常勤職と同じ枠組みとしての位置づけ。このことが、住民と議員の間で議員活動に対する評価や期待について大きなズレを生み出している。

公選職として議員の位置づけを法令上明確にすべき。

例示:

自治体の政策形成にかかわる調査・企画・立案を行うこと
政策形成に必要な情報収集、意向調査、住民との意見交換などの活動を行
うこと
政策形成に関する調査研究の推進に資するため議案調査、事務調査などの
活動を行うこと
議会の適正かつ効率的な運営・管理を確保するために、会派代表者会議な
どの会議に出席すること
議会の会議における審議を通じて団体意思(例えば条例)または機関意思
(例えば意見書)を確定(議決)すること
執行機関としての首長等による団体意思の執行・実施が適法・適正に、か
つ公平・効率的・民主的になされているかどうかを監視し、必要に応じ是正
措置を促し、または代案を提示すること
団体意思の執行・実施によって、当初の意図どおりの効果・成果をあげた
かどうかを評価し、必要な対応を促すこと
自治体が主催・共催する記念式典その他の公的行事に出席すること


なお、上記のような議員の職務を具体化するに当たっては、各自治体の条例の
定めにより、実情に即した対応を可能とすることが望ましい。

先日のブログでも書いたように、議員の広報機能については追加して記述することが必要だと思いますが、このように活動自体を明示的に列挙することは非常に有意義であると思います。議員の広範な役割を理解し、何を持って評価すべきか、どういう仕事をするべきか、ということが明確になるからです。

 

(提案2)地方自治法203条から議会の議員に関する規定を分離し、「報酬」を「地方歳費(仮称)」に改めることとし、次のような条項を新設・別置せよ。

第203条の2 普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、地方歳費(仮称)
を支給しなければならない。
2 普通地方公共団体の議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受
けることができる。
3 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給す
ることができる。
4 普通地方公共団体の議会の議員の地方歳費(仮称)、費用弁償及び期末手当
の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

「報酬」は一般に非常勤職員が提供したサービス対価。議員の職務実態は議会に出席することだけではないので、職務実態を反映した名称としてはふさわしくない。議員としての広範な職務遂行に対する公費支給と解すべき。

わかりにくいかもしれませんが、議員は一般の非常勤職員とは違う広範な業務を担う(提案1のような)ので、それに対する公費支給と位置づけをあらためよ、というものです。

 

2議員活動に対する公費支給の検討

(現行)

・報酬:議員に対する報酬の性格と議員の身分的取り扱いとの関係が不明確

・費用弁償:職務遂行に必要な経費の実費であると解されており、一つは出張旅費、一つは応召旅費。応召旅費については、何をその対象とするかは、議会の裁量に委ねられているという解釈がある。

・政務調査費:「議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派または議員に対し、政務調査費を交付することが出来る(法律)」。政務調査費の主な使途は議案の審査や政策提案等に要する調査研究活動と解されている。議員からは住民意思の把握等広範な議員活動にも充当できる経費の支給を求める声が上がっている。住民からは公費支出である以上、領収書の添付を義務付け使途を公開すべきだという意見もある。現行の政務調査費制度とその運用には多くの課題があるといわざるを得ない。

(論点)

・報酬:議員活動を新たに位置づけることによって、議員の職務活動領域は拡大する。従来役務対価として考えられていた報酬も、諸活動を含むようになるから、適正な水準が検討されるべき。

地方歳費が経費全てを含む概念として位置づける考え方に立つと、費用弁償・政務調査費制度を廃止し、それらを包含した水準とすべきということになる。

一方、役務の対価と職務の経費とは性格が異なるので、まとめると返って経費の使われ方が不適切になるなどの意見もありえる。引き続き真剣な検討を要する。

・費用弁償:議員活動を新たに位置づけることによって、理論的には費用弁償の対象となる議員活動も拡大することになる。議会運営・管理機能を発揮するための職務活動として議会が認めたものについては、条例の定めるところにより費用弁償の対象として取り扱うべき。

・政務調査費:議員活動を新たに位置づけることによって、住民意思の把握・吸収のための活動も、いわゆる選挙活動とされるものでない限り、公費助成の対象となる職務と介すべき。制度の再編も含めた検討の余地もある。

公費支給の水準決定に当たっては、広く住民に納得できるような審議と決定手続きを工夫することが考えられる。また、公費支給の前提として、議会が執行機関への監視機能や政策立案機能を適切に果たしていることを住民に説明・理解を得ることが大切。

それぞれの議会において、政務調査費や新たな公費支給制度を活用して、議員活動を住民から見えるものにし、説明責任を果たしていく努力がより一層求められる。

この議論では、「議員活動の新たな位置づけにより、活動領域が拡大するので、公費支給も再検討する必要がある」という構成になっていますが、直ちに水準を上昇させるのではなく、従来の報酬・費用弁償・政務調査費がどこまで議員活動をカバーしてきたか、そしてどこまで議会が機能を果たしてきたかを検証すべきと暗に示しています。

都道府県議長会の委嘱による研究会なので、どちらかといえば議員よりの結論になっているような気もしますが、底流には「議員・議会活動を良い方向に活性化させたい」という思いが感じられますね。



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kenposzk at 23:45│TrackBack(0)書評・資料 

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