シビライゼーションと平田議員渋谷区議会予算委員会:総括説明

2006年03月04日

スイスで「金持ち優遇税制」を取る州が!

スイスで画期的な税制が。

毎日新聞の記事です。

<金持ち天国>高額所得者ほど税率低い制度 スイス中部の州 
 スイス中部のオプワルデン州(人口約3万3000人)が今年から、高額所得者ほど所得税率が低くなる新制度を導入した。「お金持ちが引っ越してくれば税収が増え、結果的に低所得者も助かる」という発想だが、他州との税率引き下げ競争を懸念する声も出ている。


うーん、いずれはこういう話が出てくるだろうな、と思ったんですが・・・実際目にするとびっくりしますね。

増えた税収を使ってインフラ整備やセーフティネットの構築をしようということです。
地方自治体では特に高額納税者に引っ越してもらうことによって劇的に税収が増えるため、このような政策を取ることができます。
工場や会社の誘致なんかはこの政策と同方向ですね。


実は、私もこの制度については研究していました。
さすがに【高額所得者ほど所得税率が低くなる】とまではいいませんが、高額所得者を増やすことによって財源を増やすことを狙ってもいいのではないか、と考えていたのです。

実際、お隣の港区では六本木ヒルズ等高額所得者向け住居が増えたために、税収がかなり増加したとのことです。それによって福祉施策などをかなり進めることができているとか。
非現実的な話ではありません。


以下はちょっと難しい議論になりますが、東京23区は税制上偏りが生じています。
それは、一般市が徴収できる税金の一部、市町村民税法人分や固定資産税などを徴収できない制度があるのです。※

そのため、自主的に財源=税収を増やす努力をするならば、徴収率を少しでも上げるか(滞納している人からどんどん集めるわけですが、劇的な向上は難しいですね)、税金をいっぱい払ってくれる人を増やすかしかないのです。
後者は、個人住民税を増やすという方法、すなわち高額所得者を増やすという政策になります。


税金は国や地域の設計図です。
どんな税制を取っているかを見れば、その国がどんな社会を作りたいか見えてきます。

東京都は特別区に対し偏った税制を強いています。
特別区が税収を増やす自助努力をしようとするならば、高額所得者を獲得するのが基本的な戦略になります。
そんな制度でいいのか??? という思いはありますが、東京都が税制=財政上の設計図の改善を認めない以上(この間都区の交渉は決裂寸前にまで行きました)しょうがありません。

スイスの例も、研究してみたいと思います。

 


もちろん、完全に取り上げられているのではなくて、「都区財調」という制度があって、いったん東京都が市町村民税法人分や固定資産税などを徴収し、そのうちの半分程度を23区に配分するのです。
ただ、配分には一定のルールが合って、都が算定する基準における「富裕区」になればなるほど配分が少なくなるという「水平調整」なのです。結果的に渋谷区にはここ数年配分はありません。

渋谷区の一般会計は750億円前後。それにくらべ、市町村民税法人分は約350億円。固定資産税は約500億円。合計するとおよそ900億円がまったく入らないのです。普通の市であれば当然収入にはずなのですが・・

この制度があるために、23区の税制はどうしても個人の住民税中心になるんです。



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