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2005年12月16日

ドイツ通信

もとインターン生がドイツに留学しています。

彼が、ドイツ事情のコラムを書いてくれたので掲載します。

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部屋探し国際比較

 

 僕がドイツに来て一番初めにしたこと、それは部屋探し。日本ならば不動産屋に行けば済むところだが、ドイツの不動産屋はお金のない若者に紹介するような物件はほとんど扱わない。

ドイツにいる貧乏学生のほとんどはWG(ヴェーゲー)いわゆるフラットシェアをしている。その規模はさまざま、2人で住む小さなアパートがあれば、大家族が住むような一軒家を借りて10人で住む所もある。そのうちわけもさまざま、男性だけのところがあれば女性だけのところも、男女混合のところもある。

 WGをするには3つ手段がある。まず1つは仲の良い友達同士で部屋を借りる。2つ目は自らWGをする目的で部屋を借り、同居人を募る。そして3つ目はWGしていた誰かの後釜として入居する。以上3つの手段があり、ほとんどの人は空き部屋を探し、3つ目の手段でWGをすることになる。

ではどうやって空き部屋を探すのか、これも色々と手段がある。

一番楽な方法は、紹介や口コミ。友人等を介して話が進むので、比較的話がまとまりやすい。一番ポピュラーな方法は、大学の掲示板や新聞の地域面で『ルームメイト求む』といった張り紙や投稿を探すか、WG専門のホームページで条件を設定し検索をかけ、条件に見合う物件を探す方法。いい物件が見つかったら、直接電話をし、まだ物件が空いているようなら下見の日時を予約することになる。物件下見は実際に見て部屋を気に入るかどうか、ルームメイトとの相性はどうかといったことに注意せねばならない。もちろん最終的に入居できるかどうかを決めるのは家主であるから、下見には面接のような要素もあり、ルームメイトとしてどうか、相手からも見られている。物件が気に入った場合は名前と連絡先を残し、後日の結果発表を待ち、良い結果が得られれば晴れて入居ということになる。

 

 ではなぜドイツではWGに人気が集まるのか?その一番の理由は経済的であることだと誰もが口を揃えて言う。1人でワンルームマンションを借りるより家賃が約3割安くなるし、家具も最初から揃っているというのは非常に魅力的だ。

日本にもルームシェアをしている若者はいる。しかしそのほとんどは気が置けない友人同士であったり、兄弟であったりで、見ず知らずの他人同士となるとほとんど例を見ない。

ではなぜ日本では盛んでないのだろうか。思いつく理由をドイツとの比較を交えて幾つか挙げてみよう。

まず、コミュニケーションの問題だろう。

WGをする上で、コミュニケーションは欠かせない。電話をかけることに始まり、下見での会話、一緒に住むようになってからもそれなりにコミュニケーションをとっていかねばならない。あくまで相対視しての話であるが、日本人はドイツ人に比べると内気であることが多い。

見ず知らずの他人の携帯電話に電話することに抵抗がある人は多いだろうし、下見でも初対面でたじろぐ人は多いだろう。これは普段の対人関係から見ても違いは明らかで、ドイツ人はパーティーや会食を好み、毎週末そういった予定を入れる人が多い。また、非常に開放的で、全く関係のない友人を友人の誕生日パーティーに無断で連れて行くこともざらだ。パーティーの席でたじろいでいると『体調が悪いのか?』と心配されてしまうほど社交的なのだ。

次にプライバシーの問題。『プライバシー保護』というキーワードの捕らえ方が日本人とドイツ人では違っている。ドイツ人は相手のプライバシーを尊重することで、自分のプライバシーを尊重してもらおうといった傾向にある。一方日本人は自ら自分のプライバシーを守ろうとするような所がある。日本人なら見ず知らずの他人に電話する以前に、自分の携帯電話の番号を公然と晒すことに違和感を抱く人は少なくないだろう。WGでは部屋(玄関ではない)に鍵がついていたとしても鍵をかけないのが一般的だが、部屋に鍵がついているかどうかを気にする日本人は多いと言う。(もちろんトラブルを未然に防ぐ工夫は必要だが)

日本を常に悩ませる土地の問題も少なからず手伝っているだろう。ドイツの建物は日本の建物よりかなり余裕を持ったつくりをしている。その余裕は日本人とドイツ人の体格差以上だろう。学生が借りるような部屋も日本のアパートのようなつくりではなく、5階建てで中庭があるマンションのようなものがほとんどだ。使える国土が少ないため地価の高い日本では2DKを借りるとDK以外の二部屋が一枚壁を挟んでという構造であることが少なくない。ドイツのものは土地の余裕からか廊下を挟む構造のものがほとんどだ。その余裕がプライバシー保護に一役かっていると言えるかもしれない。

 

WGにも欠点は存在する。住人同士での盗難のトラブルはあるというし、いざ一緒に住んでみて相性が悪い場合は、一番寛げるはずの家にいること自体がストレスにつながってしまう。しかし、そういったトラブルを回避するのがドイツ人のコミュニケーション能力なのかもしれない。

風邪をひいて熱で寝込んだ時に同居人がいるのは心強いだろうし、1人で寂しく食事することも減るWGはとても快適だと僕は感じている。もちろんルームメイトに恵まれてのことだが。

別に僕はここで、WGをするドイツ人が日本人より優れており、日本人も見習って変わっていかなければならないというようなことを言いたいわけではない。もちろんプライバシーの捉え方など見習うべき点はあるだろう。

ただ日本人が内気なのは今に始まったことではないし、そういう国民性が文化や反映してくるという点で、むしろオリジナリティとして守るべきものであるのかもしれない。

ドイツの若者に『できることなら1人で部屋を借りたいか?』という質問をすると、『そんな選択肢は考えたことも無い。WGがいいかな。』と、たいていの人は答える。

きっとこれは日本人にとってのWGと同じことだろう。

部屋探し一つとっても国民の育んだ独自の文化なのだ。

 

WGWohngemeinschaft(ヴォーンゲマインシャフト)の略

 

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いろいろ違いがありますね。面白いです。

 

継続して掲載する予定ですので、お楽しみに!

 



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kenposzk at 06:46│Comments(1)TrackBack(0)海外通信 

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この記事へのコメント

1. Posted by けん   2005年12月18日 01:25
他人とのコミュニケーションをとる、仲間と楽しく過ごすことは人生の幅を広げ豊なものにしますね。そういう意味で、パチンコに娯楽を求めるようなことが理解できないといわれるのもよくわかります。ただ、彼らが、日本のような、住環境、家賃の高さで暮さなければならないとすれば、どのように過ごすのか意見をお聞きしたいですね。

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