シニアクラブ四十周年速報:不審者情報

2005年05月27日

郵政民営化:民主党の審議拒否

郵政民営化の審議が、国会で始まっています。
民主党は審議拒否ということで、「ボイコットだ」というふうに批判をされることがあります。
 
これは、全く的を得ていないのではないか、と感じています。
このあたりについて少し説明してみたいと思います。
 
 
○4つのゴール
 
民主党が狙うことのできる結果としては5つ。
1)否決に追い込む(数が少ないので、与党内での造反を求めなくてはならない。政局自体も流動化してしまう上に、政府は大幅な改変を行わない限り再提出できないだろう)
2)審議未了・廃案に追い込む(国会の日程は決まっているので、時間切れを狙っていく。「牛歩戦術」などが典型。政府は次の国会で再提出できる可能性がある)
3)修正を求める(激しい抵抗や世論の後押しによって修正や付帯決議を与党側に飲ませる)
4)反対票だけ投じる・欠席する(政府与党案のとおりに実現)
5)丸呑みする 
 
数字が少ないほど難易度が高い(=激しく抵抗しなければならない)です。
今回は法案に問題が多いようなので、できれば1)か2)を実現し、改めてしっかりした法案の再提出を求めていく必要があると民主党本部はいっています。
 
 
○審議拒否という「方法」
 
ここで、審議拒否というのは、実は【運営への批判】という側面と【時間切れ狙い】という両方の要素のある手法です。
 
1)与党側の議論の進め方を批判する
(議会ではルールにのっとった公平な議事運営をしなければならないが、それができていないと批判する)
2)時間切れを狙う
(議会では少数者の意見を尊重しなければならないが、民主党が参加しない状態で審議を進めると「少数者の尊重」が実現できない)
この両方を満たすものなのです。
 
もちろん、正当な理由があって始めて成立します。何も理由がない状態で審議拒否するならば、単なるボイコットといわれてもしようがありません。
今回は、河野議長(自民系)も本会議を野党抜きで進めることについて、「望ましいことではない」と明確にコメントしているほどです。
難しい議論なので割愛しますが、審議拒否をする正当な理由が明確に存在します。
 
 
○野党の「武器」を奪うことは議論を形骸化していくことにつながる
 
確かに、審議拒否は単なる「ボイコット」に見えるのかもしれません。
それはテクニカルな部分が多いからです。議会運営上の問題に対する批判であり、日程を盾にした抵抗だから、一般の人には確かに見えにくい。
 
しかし、数に劣る野党にとって数少ない貴重な「武器」のうちの一つ、特に議会運営上の問題に対して有効な対抗手段の一つなのです。
ともすると数で押し切りがちの国会、さらに抵抗手段を失ってしまうことは結果として議論を形式化することにもつながっていきます。
いざとなったら与党側は数で押し切ればいいのですから。
結果、しっかりした議論は行われなくなるでしょう。
 
 
党幹部には政策的な主張だけではなく、手段の説明もして欲しいものです。
説明すればきっとわかってもらえると思うんですが。
 
※この記事は鈴木けんぽう個人の見解です。ご了解ください。


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この記事へのコメント

1. Posted by おかにゃん   2005年05月29日 00:08
こんばんは。コメント&TBありがとうございました。
審議拒否という手法について,丁寧にご説明いただき,本当にありがとうございます。大変参考になりました。
その上で,私のブログにて見解を示しておきましたので,参考にしていただければと思います。誤解を恐れずいいますと,多少厳しい論調になっていますが,これは民主党が嫌いだからという意味ではなく,政権準備党を名乗る以上,それなりの責任があるであろうという強い期待感からでたものです。
ところで,HP等を拝見しましたが,区議としての活躍はすばらしいものがあります。これからも渋谷区のため,そして渋谷区民のために頑張ってください。
今後ともよろしくお願いします。
2. Posted by 鈴木けんぽう   2005年05月31日 17:13
鈴木けんぽうです。ありがとうございます。返信遅くなりまして申し訳ありませんでした。
今後ともよろしくお願いいたします。

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