2011年09月

2011年09月11日

災害を巡る地方自治体の構造的課題〜寄稿していただきました〜

経済評論家の渡邊哲也氏に、震災6カ月を迎えて地方自治体を取り巻く構造的課題について書いていただきました。
震災で浮かび上がった日本の課題に対し、被災していない地方自治体は今後どのように対応していくべきか?


示唆に富む内容です。
ぜひご覧くださいませ。


※震災後に書いていただきました、
「自治体が見据えておくべき、今後の日本経済のゆくえ」(震災1+か月)
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51879193.html
「震災で浮かび上がった日本の「脆弱性」と自治体の取り組むべきポイント」(震災3か月)
http://blog.livedoor.jp/kenposzk/archives/51898635.html
も併せてご覧くださいませ。


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災害を巡る地方自治体の構造的課題

すでに震災から半年が経過した。


 今回の震災被害は、これまでの常識を大きく覆す物となったのも事実である。これを糧として、同じ過ちを二度と繰り返すことが無きように努めてゆくのが残されたものに与えられた責務であるといえよう。


 鈴木けんぽう先生のご好意により、震災後1ヶ月、3ヶ月と時系列を追う形で問題提起とその対応法について寄稿させていただいた。すでに、その一部は政策に反映され、実現に向けて動き出している。本当にありがたい事である。


 繰り返しとなる部分もあるが、もう一度主要な部分を整理してみよう。



■構造的問題点
 今回の震災において、行政の復興対応の遅れが強く指摘されている。これまでも述べてきたが、その最大原因は、地方と国の役割分担の曖昧さが主要因である。


 これは自民党政権下からの法整備の問題となるのだが、災害対応や復興に関する法律では、自衛隊法を除き、救済や復興を行うのは地方自治体と規定されており、国はそれを支援するかたちとなっているのである。(図1) 今回の災害ように、規模も範囲も大きく地方自治体自身が機能マヒに陥った場合、地方主導では対応しきれないのが現実である。



(図1)
         →→→必要な対応策を決めて要請→→→ 
地方自治体                             国
         ←←←予算と実施要綱などを指示←←←



 今回の震災では、被害程度の差もさることながら、地域の基礎体力や行政能力、行政方針の違いにより、復旧に差が生じていることも事実である。その代表格と言えるのが仮設住宅であり、住宅のメーカー選択を地方自治体に任せたため、仮設住宅完成が遅れた地域も出たのである。国が行う緊急施策でありながら、地域格差が生まれていることも平等性の観点からすると問題であろう。


 現在、今回の事態を受けて、国が直接対応できる仕組みづくりを進める方向で議論が進みだしている。これは貴重な第一歩であるといえよう。


 実は先日、阪神淡路大震災当時の関係者の方にお話を伺う機会があった。そして、幾つかの事実が浮かび上がった。まず一番の質問点は、何故阪神淡路大震災では、この問題が何故クローズアップされず、改善されなかったかという点にあった。
 

 自衛隊の救済の出遅れを強く指摘されつづけてきた村山元総理であったが、震災の3日目に自分の経験と知識だけでは対応しきれないと判断した。
 そして、当時連立を組んでいた自民党や官僚に対し、責任は私が全て取ると明言した上で、震災に対して自由に対応出来る環境を作ったそうである。


 総理の要望に沿う形で、自民党は関連省庁に精通している小里貞利氏が適任とし、村山元総理は即座に震災対策担当大臣に指名したということであった。
 そして、任命を受けた小里大臣は常に現地に張り付き、中央とのパイプを勤め上げたそうである。


 政治判断が出来る大臣(責任者)が現場にいた事で、地方と国との意思疎通が容易に可能となり、必要な手立てが迅速に可能となったとのことであった。


 自衛隊出動の遅れは強く批判された。その為、自衛隊法が改正され、県知事などの要請で出動できるように改善された。
 しかし、その後の救済と復興に関しては、震災対応における地方と国の連携がうまく行きすぎたが故に、災害関連法案は改善されず、問題を抱えたまま残ってしまったともいえると私は考える。


  当然、これを改善しなくてはいけない。行政というのは巨大なシステムである。本来は特別な人が介在しなくても、極力安定して動くように仕組みを作らなくてはいけないのだ。
 この改善に向けて、国は少しずつ動き出した。これは丁寧に見守ってゆく必要があるだろう。




 ■国の方針変更を受けて地方行政がすべきこと
 震災対応が現在の地方主導型から国主導型に変化すると規定した場合、地方と国との連絡体制やその行政対応の仕組みを根本から変える必要が出てくるであろう。
 地方自治体はこれまでと違い対応の自由が奪われると同時に判断に対する責任からも解放される形となる。この動きは、国と地方が一体となり進めてきた地方への権限委譲の流れと逆行する形となる。


 このような書き方をすると、地方自治の否定と捉えられる方がいるかもしれない。
実際は大きく違い、この大きな流れのなかで、その地域に合わせた対応と要望を国に対して要求しつづけることが最大の仕事となるのである。


 大きな事であるように感じるかもしれないが、実際の行政は地域特性に合わせた個別の事案の積み重ねである。
 例えば、学校や保育所、公民館などを作る場合においても、その本来の目的だけではなく、非常時拠点としての機能を有することになる。


 国が請け負う危機管理部分の責任の拡大は、このような施設建設の際の補助金や助成にも深く関わることになる。 極端な言い方をすれば、国の制度を研究し、自治体住民の要望に答えながらできるだけ多くの補助金もらえる施設を作ることが地方議会と行政の実力ともいえるだろう。




■次の地震に備えて
 我が国では首都圏直下型地震、東南海地震などの大きな地震が、いつ起きてもおかしくないと言われている。それに対応する仕組み、制度、施設の再構築を急がなくてはならない。


 まず、地方行政においては、今回の地震で明らかになった問題点の洗い出しと総点検、そして、必要となる  もの かね どうぐ を整備する必要がある。
 また、このような問題の洗い出しをする上でも、住民の協力が重要となり、できるだけ多くの視点の意見を拾い出し、そして、それを個別に判断し、議会での議題に反映し、行政に落としておかなくてはいけない。


 私がざっと思いつくだけでも、帰宅困難者問題 昼夜の人口の違いと個別データ 避難施設の収容可能数と電源 非常用食料と水 身元判明と埋葬問題 公共施設の耐震問題 仮設住宅の設置場所の仮選定 非常時人員確保問題 避難経路の確保と危険地域の想定 生活弱者への対応(人員と施設) 非常時医療拠点と設備備品確保 住民の把握と住民への啓蒙 など問題は山積である。一つ一つ洗い出しながら、議会と行政が一体となり、丁寧に1つずつ解決すべき問題となる。



災害は忘れた頃にやってくる。備えあれば憂いなし とかく現代は人と人のつながりが希薄化していると言われているが、もう一度、地域社会のつながり強化も含め、住民同士、そして住民と行政の信頼を強化し、地域の絆を強める必要があるのだろう。


渡邉哲也



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プロフィール


渡邉哲也(わたなべ・てつや)
1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒。貿易・卸の企業に勤務の後、独立。複数の企業運営にも携わる。
仕事上、海外の経済情勢に精通。ネットを通じて発信している内外の政治・経済状況のリサーチと解析には定評がある。リーマンショックを当てた「ドル崩壊!」を監修、「完全にヤバイ!韓国経済」共著(彩図社)欧州危機を予言した「本当はヤバイ!欧州経済」を執筆、「日本はニッポン! 金融グローバリズム以後の世界」共著など金融や経済に関わる著作を行っている。また、政治や経済に関わる様々な著作の企画や監修にもあたっている。


人気経済ブログ「代表戸締役 ◆ jJEom8Ii3E の妄言」を運営。
http://www.watanabetetsuya.info 連絡先はinfo@watanabetetsuya.info
 




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kenposzk at 18:00|PermalinkTrackBack(0)

2011年09月06日

【読書メモ】学校危機管理

【読んだ本】実践 学校危機管理―現場対応マニュアル」 確かに実践的。事件事故を起こさない・起きた後の対応・マスコミへの対応等について触れられています。 http://t.co/THLsmjG [アマゾンのアフィリです。収入は資料購入に使います]


以下メモ
・犯罪原因論→犯罪機械論へ
・抵抗性、領域性、看視性
・マニュアル、訓練、機器
・組織対応。信頼を築く機会
・第一報、記録、場所、応対者
・当事者を増やす
・マスコミとの対応
・不当要求への対応


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kenposzk at 00:48|PermalinkTrackBack(0)